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ワークショップ, 地域, ヨシ刈り | 2018/03/09  11:37
Text : 高橋沙織(社会部)

2月上旬、たねやグループでヨシ刈りのワークショップを行いました。
従業員のほか成安造形大学と京都大学の学生さん、地元白王町のみなさん、近江八幡まちづくり会社まっせのスタッフも一緒に、総勢80人で実施しました。

今回は、ラ コリーナ近江八幡から車で5分ほどの、南権座(ごんざ)のヨシを刈らせていただきました。
「権座」とは、琵琶湖の内湖・西の湖に浮かぶ飛び地。周囲を水に囲まれた農地で、豊かな水辺の生態系が残っています。

天候は、気持ちの良い晴天!まだ厳しい冬の冷たさが残る風はあるものの、無事実施することができました。
実は数日前から天気予報を何度も見ながら、実施できるのか、延期なのか…と心配していました。
前日まで続いた寒波の予報。当日の朝を迎えるまでドキドキでした。

集合場所からは白王町の方に船を出していただき、岸から権座まで約5分、湖面を渡って陸に向かいました。
船に乗り込む時も、バランスを考えながら腰を落として乗船。一度に20人ほどが乗せていただき出発です!普段はあまり乗る機会がない船上で、みなさんワクワクした様子でした!

琵琶湖やその周辺の水辺に多く自生するヨシは、浄化作用で琵琶湖の水をきれいにしたり、魚や鳥など生き物の住みかになったりと、琵琶湖をとりまく自然の生態系の中でとても多くの働きを担っています。
そのヨシの群生を守るためには、人の手で毎年冬にヨシを刈り、刈り跡一面を燃やして新たな芽が出る準備を促す「ヨシ刈り」がとても重要です。古くから水辺の近くに住む地元の方々が行ってきたヨシ刈りですが、近年は人手不足などで管理が行き届かないところもあると聞きます。
私たちたねやグループは、そんな美しいヨシ原を守るために以前から活動しており、3年前、ラ コリーナから近くのヨシ地へヨシ刈りに向かうようになりました。

また、ラ コリーナで秋に開催している「たいまつフェス」では、近江八幡各町の方々にヨシを使って伝統の松明をつくっていただいたり、ワークショップの材料としても、このヨシを使わせていただいています。

私たちは、近江の人々の生活のなかで身近だったヨシを、ラ コリーナを訪れてくださる多くのみなさまに知っていただきたい、触れていただきたいという願いも持っています。
そこで、太くて4メートルを超えるヨシは、選別してラ コリーナに持ち帰らせていただきます。

今回は初めての参加者も多く、いざ作業を始めるも、なかなか思い描いていたようにはかどりませんでした。
途中で機械を使ってヨシを刈る人と、収集する人役割を分担しすることにしました。白王町の方や従業員のなかでも経験のある人にアドバイスをいただきながら、みんなで協力して作業を進めました。

白王町の方はさすがの慣れた手つきでテキパキとサポートしてくださいました。ありがとうございました!

私は仕事のなかでワークショップの運営などを担当することが多いのですが、今回の80人の参加者は、私が今までに経験させていただいた中では最大人数でした。当日の役割分担やタイムスケジュールなど、何度も話し合い、事前に下見もさせていただくなど、白王町の方にもとてもお世話になりました。

なにより、みなさんに大きなケガもなく楽しく出来たことが良かったです。後日、
「いつの間にか鎌を持って刈るのに夢中で、また参加したいと思いました」という嬉しい言葉もありました。

今までのヨシ刈りワークショップは参加者という立場でしたが、今回は運営・サポートする立場となり、イキイキと活動するみなさんの安全と笑顔が何よりのエネルギーとなりました。

協力してくださった地域の方や会社のスタッフのサポートがあってこそ実施できたと実感しています。
今後も一人でも多くヨシ刈りに参加することで、自然を守り継いでいくことの大変さや素晴らしさ、地域の皆さんとの関わりなど、普段の業務では経験できない学びを得て、これからに生かしていけたらと思います。

この春には、大切に持ち帰らせていただいたヨシをつかって、ラ コリーナ敷地内に丸立てをつくる計画もしています。ラ コリーナにお越しいただいた際には、ぜひご覧になってください!

※ヨシ刈りに関する過去の記事はこちら
美しいヨシ原を守るために
ヨシの丸立てワークショップ


本社〈銅屋根〉, 地域 | 2018/02/28  11:50
Text : 國領美歩(広報室)

2月24日、ラ コリーナ近江八幡にあるたねやグループ本社で、「近江八幡未来づくりキャンパス 地域資源活用塾」の成果発表会が開かれました。
この取り組みは、近江八幡市が主導となり、市民が地域の課題や未来について学び考え、近江八幡をより良くするアイデアを出し合う場としてスタート。
2年目をなる今年は、10代〜70代の市民15名が約半年間ディスカッションなどを重ねて、実際に事業として動き出す計画を進めてこられました。「近江八幡未来づくりキャンパス」公式Webサイトはこちら。

「近江八幡の未来を考えること」は私たちたねやグループにとっても、ずっと変わらず大切にしていることです。日々この地で商いをさせていただくことも、広い意味で「近江八幡の未来を考える」ということだと思っています。
この日は、近江八幡市民による塾生のみなさんの熱い思いを発信していただく場として、ラ コリーナを活用いただきました。

琵琶湖を代表とする自然環境、高齢化の進む地域コミュニティ、空き家や子育て問題など暮らしに関することなど幅広い課題の中から、今期は、4つのグループに分かれてプランを発表されました。

「nishino-co」チームは、琵琶湖最大の内湖「西の湖」を「自分と向き合う場」として活用する事業を提案。
普段はあまり持てないじっくりと自分を見つめ直す時間をあえて、西の湖で行うというイベントの報告などもとても興味深い内容でした。近江八幡ならではの風景を生かす、とても新しい視点だと感じました。

「種まき」チームとして、ラ コリーナからもとても近くの北之庄地域でお米や野菜をつくる農家・廣部里美さんの発表では、新規就農者として担う農業と人の暮らしを近づける役割が提示されました。
NPO法人百菜劇場として農業体験事業も運営する経験から、「まずはコミュニティ(ファン)を育むことが大事!」という気づきを話していただき、特に共感しました。
ラ コリーナでも、参加者が1年を通してお米づくりを体験する「ラ コリーナCLUB」をスタートしているので、「サポーター制度」などの提案もとても参考になりました。

他にも、車がなくても生活できる地域を目指す「なくてもHappy!」チーム、近江八幡にある町屋魅力を再提案する「町屋活用しまっせ!」チームが発表を終え、最後は聴講者も一緒になってさらに議論を深めている様子でした。

発表をきかせていただいた私たちもとても良い刺激をいただきました。
また、年齢を問わず活発に意見交換をされているみなさんを見て、さらにラ コリーナを「人と人が交わり、つながる場」に、地域のみなさんと共に歩んで行きたいと思いました。


クラブハリエ | 2018/01/23  16:10
Text : 國領美歩(広報室)

2月14日はバレンタインデー。みなさまはいかがお過ごしですか?
世界でも様々なかたちでお祝いされている“愛の誓いの日”。日本では「思いを込めてチョコレートを贈る」という文化から、近ごろでは広く「チョコレートを楽しむイベント」として親しまれていますね。

たねやグループでも「チョコレートの魅力を多くの方に知っていただける大切な季節」として、たねや・クラブハリエが力を合わせてたくさんの魅力的な“チョコレートのお菓子”をお届けしています。
今年もクラブハリエは全国の百貨店で行われているバレンタイン催事会場に出店。続々とスタートを切り、各地で盛り上がりをみせています。
クラブハリエ Valentine Collection 2018「ショコラ」

1月初旬、ラ コリーナ近江八幡ではバレンタイン催事店舗の店長をはじめとするスタッフの研修が2日間にわたって行われました。
バレンタイン期間中、クラブハリエが展開する商品は100点以上にものぼります。お客さま一人ひとりにとって最もふさわしいお菓子をご案内できるように、そして最高のバレンタインを過ごしていただけるように…
商品を把握することはもちろん、お店のつくりからパッケージ、ディスプレイ、接客の方法までを深く学び考える時間となりました。

まずはスタッフ自身がしっかりとクラブハリエのチョコレートを味わいます。
「おいしい!これが一番好きかも」「これは食感がいい」…などの声が上がる場面もありました。

特に、その一粒に高い技術とセンスが問われる「ボンボンショコラ」は、各ブランドのトップシェフが手がける渾身の品。手に取るお客さまも真剣に選ばれる商品だからこそ、しっかりとご案内する必要があります。

クラブハリエにはグランシェフ山本をはじめ、世界レベルの職人が複数いるため、ボンボンショコラのコンセプト・種類も多岐に渡ります。
外にかかった色鮮やかなコーティングのなかには、ガナッシュやプラリネなどが層になっています。
様々なチョコレートを組み合わせたり、ナッツやフルーツを合わせたり…チョコレートを知り尽くした職人が考え抜いたその味わいは複雑で驚きがいっぱい!味わってみないと分かりません。

この日はクラブハリエのチョコ工房を率いるシェフ小野林が、一粒一粒に込められた味や製法のこだわりを話しました。ただ商品の説明をするのではなく、作り手本人からの言葉を受け取ることで、お客さまへ伝えられる内容も変わります。
近年話題の「高カカオ」というキーワードなど、職人ならではの専門的な解説に大きな学びがありました。

営業担当者からは、商品概要がレクチャーされました。お菓子はもちろん、パッケージの隅々までこだわりがつまっています。

企画から開発、製造まで長い時間をかけ、たくさんのスタッフが関わりようやく商品が完成します。
その思いは販売スタッフに託されます。託された店長たちの表情も真剣そのものです。

その後はディスプレイの担当者も加わり、実際の店舗図面を見ながら商品の配置や展示方法を話し合いました。

どのような並べ方をしたらお客さまの目に留まりやすいか、そして手にとっていただきやすいか。展示の仕方一つで売り場の雰囲気は大きく変わります。お客さまの目線をイメージしながら、丁寧に確認を進めます。

グランシェフ山本からは、
「バレンタインは周囲の状況もふくめ毎年すごく変化しています。約3週間の短期間にもかかわらず、多くの商品が動くのも事実です。でも、いかに売り上げを上げるかと数字を追うのではなく、来てくれたお客さまが心から『良かった』と思ってもらえるように、ということを大切にしてほしい。
バレンタインを通して、クラブハリエを知りファンになってもらえたら。そんな気持ちで、スタッフみんなで楽しく乗り切ってください」という激励がありました。

クラブハリエでは、店長経験のないスタッフの次へのステップアップと期待を込めて、催事店舗の店長を任せることが多くあります。山本からその一人ひとりに対して、任命がありました。

京都タカシマヤのバレンタイン催事店舗を担当する不藤静香店長は、
「昨年も店頭に立たせていただいたバレンタイン。その時の店長の姿を見てすごいな!と感じたことを今年私もできたらと思います。店長は初めての経験ですが、私がそうだったようにスタッフの自信にもつながるようなお店づくりをしたいです」とやる気に満ちた表情でした。

クラブハリエがチョコレートに取り組みはじめて40年あまり。チョコレートというお菓子には、人々を幸せにする力があると信じています。だからこそ、スタッフ一同全力で準備し本番のシーズンを迎えています。

ぜひ一度、クラブハリエのチョコレートを味わってみてください。あま〜い幸せが待ってますよ!

 

※クラブハリエのチョコレートの秘密が満載!ホームページもぜひご覧ください!
クラブハリエ Valentine Collection 2018「ショコラ」


メインショップ〈草屋根〉, ワークショップ | 2017/12/29  14:31
Text : 鷲尾明子(広報室)

来年の1月9日でメインショップオープンから3年が経ちます。
カステラショップ・フードガレージと次々に新しい店舗をオープンし、今年は260万人を超える来店者数となりました。

最初にオープンしたメインショップの土壁は従業員と近隣の大学生、たねやグループCEO・クラブハリエ社長が加わって2日がかりで作業を終えたものです。

年月とともに土壁が削れ下地が見えてきたので、年末の大掃除ならぬ塗り直しを行いました。

今回は営業中ということもあり、職人さんを中心に数人の従業員とたねやグループCEOの山本が加わっての作業となりました。


山本が担当するのは入り口脇、3年前に自ら手形を押した壁です。
たくさんの方が手形に手を重ねるので、大男の手のようになってしまっていました。

今回は土壁塗りのひと月ほど前に本社事務所で山本の手の型取りをし、多くの来店者が手を重ねても削れないようにメインショップで使っている大理石と同じ石で手形を作りました。

型を取った手形をもとに3Dプリンターで石に彫ったのだそうです。


コテ板に土を盛ると、その重さに「これ、右手で受けてる土の重さがだんだん耐えられんようになるとちゃうかな」と、ちょっと苦笑いで、コテを使って壁に土を塗り始めます。

塗りつけた土が半分ほど落ちてしまうため、コテ板で受けながら下から塗り始めます。

土を塗る難しさとコテ板の重さが徐々に堪えてきます。

特に手形の部分は建築家の藤森先生からは“2cmほど土を石の上に重ねて盛り上がったように”という注文があり、「むずかしいな」とつぶやきながら作業を進めていました。

職人さんが横でスイスイと土も落とさずに塗っているのを見た山本の「この仕事を何年されているんですか?」という問いかけに職人さんが「30年です」と答えられると納得したように黙々と塗り続けます。

仕上げは土を塗ったところをホウキで削り風合いを出します。

ここラ コリーナ近江八幡は土壁塗りだけでなく、天井の炭付けや軒下部分の芝ロール制作、銅屋根の銅板曲げ、杉焼き、植栽と様々な作業をワークショップとして従業員たちとともに作り上げてきた場所です。自分たちが携わってきたからこそ、愛着もわきます。

これまでのことを思い返すように、みんなで作ってきた証である手形を何度も確認をしていました。


従業員たちもあとに続いて壁を塗り始めます。


始めは楽しそうに始めていた従業員たちもコテ板の重さが堪えてきたようで、交代しながらの作業になりました。


横で土を落とすことなくスイスイと塗り進める職人さん。
それを熱い視線で見つめる従業員たち、、、なんとか技術を盗もうとしています。

完成して綺麗になったメインショップの壁。
職人さんと従業員の作業部分は全くわからないくらい馴染んでます。

一部分だけですが、普段できないことを体験できて、みなさん楽しかったと最後まで元気いっぱいでした。

ぜひメインショップ入口の左上にある手形に手を合わせてください。

3年目を迎えるラ コリーナ近江八幡。年始は1月2日から営業します。
来年もみなさまのご来店を従業員一同こころよりお待ちしております。


藤森先生, イベント | 2017/12/26  10:13
Text : 國領美歩(広報室)

12月17日、藤森照信作品集『La Collina 2017』出版記念「藤森照信が語るラ コリーナ近江八幡の世界」を開催しました。東京や名古屋、広島など全国から80人が参加し、藤森先生ご自身が案内する特別ツアーや講演、トークセッションなど盛りだくさんの1日となりました。

藤森先生がいつ、どのようにしてラ コリーナを思い描き、形になっていったのか。ラ コリーナがいかに予想外の思いつきや驚きに溢れているのかなど、今回初めて語られたことも満載!
後半には、先生のご盟友南伸坊さんも登場いただき、おもしろいお話がたくさん飛び出しました。

まずは、特別企画「藤森先生と巡るラ コリーナツアー」から!
限定20人で募集したこのツアーは、先生自らラ コリーナ敷地内に点在する建築やそのこだわりを紹介いただくというスペシャルなもの。なんと募集開始30分で定員に達してしまうほど、貴重な機会となりました。
藤森先生は「なんだか自慢するようで嫌だなぁ、恥ずかしいなぁ」と言いながらも、しっかりと引き受けてくださいました。

オカメ笹が一面に植えられた前庭に建つ「柿傘」からスタート。
ヨットハーバーをイメージした駐車場ができた経緯から、メインショップ「草屋根」の軒下では、ピロティ部分を大きくした理由も教えてくださいました。

「丸太のまま柱にしたのは今回が初めてなんです」と藤森先生。

普通は製材して使われることが多い木材も、先生は個性的な曲がりや節のある木本来の姿を生かしています。ラ コリーナの随所で見られる栗の木の丸太のままの柱は、その優しい肌質がとてもあたたかな雰囲気をつくり出しています。

カステラショップ「栗百本」では、「私は軒が低いのが好きでね、ここでは好みを出しています」とのこと。参加者のみなさんは興味深そうにメモをとったり、「実は、失敗はたくさんあるんです」という先生のユニークな発想に思わず笑いが広がったり、終始楽しい時間でした。

今では多くのお客さまが写真を撮るスポットとなっている「土塔(どとう)」を指差しながら、
「これは本当にびっくりしました。若い娘さんがインスタグラムとかいうのにあげるのにこんなに写真を撮るなんて…」と先生。「かわいい」と言われるのは複雑な気持ちなんだそうです。
世代を超えて多くの人を引き寄せる藤森先生の建築は、本当に不思議な魅力を持っているのだと感じます。

「屋根や岩の上の木は何ですか」という参加者からの質問には、「松」と答えながらも「本当は槙(まき)の木が植えたかったんですが、枯れちゃってね」と藤森先生。
「松は元気に育っているけど、これも農業部門があるたねやさんだからできる」と話してくださいました。
今では本社「銅屋根」のエントランスにのみ、先生が好きな槙の木が植わっています。


ツアーの後は、いよいよ講演の時間。会場は藤森先生の登場を楽しみに待つみなさんで満員でした。

たねやグループが藤森先生にラ コリーナの設計をお願いしたのは今から5年前のことです。
「“La Collina(ラ コリーナ)”イタリア語で“丘”というのが、唯一私に伝えられたコンセプトでした」
ラ コリーナができる前のお話から始まりました。

設計当初のスケッチ見ると当時のことが思い出されるようです。

「丘っていうから、まず屋根全体が草というのを思いついたんだけど、半分くらいは経営者はやらないだろうと思っていたんです。普通の人は世の中にないものはリスクがあってやりたがらないから。そう思って社長に出したらオッケーだったんです」

いくつかのスケッチをさかのぼると、中には実現しなかったものもあります。

「当初ずっとあったのは保育園をラ コリーナに移してくるという計画です。ぼくが(以前の)本社にはじめて行った時、工場の一角に立派な保育園がありました。そこに社員の子どもや社長の子どもも入っていたというから、この会社は普通じゃないと思ってね」

保育園の他にも、イチゴ農園を備えたショップやチョコレートショップの構想があったのだとか。
今のラ コリーナになる前、先生と共に夢を描き、それを一つ一つ形にして行った軌跡が伝わってきます。

「栗百本は私の夢の一つ、室内に向こうが見えないくらい柱を立てた空間をつくりたいというもので、建築の中で柱は少ない方がいいという原則の反対をやっています」とのこと。
「すごい急斜面のクマがいる山に入ったんだけど、見事にどれが栗かわからなくてね」と、先生はたねや社長山本も一緒に栗の木を求めて木曽の山へ入った時のことも、懐かしそうに話してくださいました。
※当時の日誌はこちら(1)(2)

先生が好んで使われる栗。栗はお菓子の材料として、私たちたねやグループも古くから大切にしてきました。
「栗の木」と「栗の実」。先生ご自身もおもしろいつながりを感じたそうです。
「栗の木はなんとなくカステラの色をしているし、とても気に入っています」

「ぼくは何かに似てくると必ずやめるんですよ。それはずっと歴史をやって来たからこそ、どの国のどの建築にも似たくないというのがある」

どうして藤森先生の建築がこんなにも唯一無二の個性と魅力を放つのか、理由はこの信念のなかにあるのではないかと思いました。


次はイラストレーターの南伸坊さん、たねや山本、進行役に今回の作品集のクリエイティブディレクションをしてくださった丹治史彦さん(信陽堂編集室)を迎えたトークセッションです。
共に路上観察の活動をされているご盟友・南さんは、さすがの息のあったトークで会場を盛り上げてくださいました。先生もとっても楽しそうです。  ※関連日誌「ラ コリーナで路上観察!?」

南さんによると、路上観察の時、藤森先生は汚い波板トタンばかりを写真に撮られていたそう。
建築業界では最も安物とされるトタンですが、一般の民家で修理のために継ぎ足されている様子が藤森先生の発想の元となったのだといいます。

「工業製品も風化すると、なんとなく自然に近づいてくる。時間の魔術ですね。時間は非常に不思議な働きを人工物にあたえる。それがトタンはもっとも顕著なんです」

たねやグループ本社「銅屋根」にも採用されている波打つ銅板葺きの屋根につながるエピソードは、とても興味深かったです。まさかトタン屋根とは!   ※関連日誌「銅曲げワークショップ」

長年、藤森先生の建築作業を手伝ってこられた南さんならではの珍エピソードもお話いただきました。
各方面で著名な方々が原始的な建築作業をされてきた様子を想像すると…なんともユニークです!

藤森先生から山本へ一番最初に提案されたのは、屋根一面に草の生えた建物のスケッチでした。

「ぼくは今まで一度も聞いたことがないんだけど、あれ(スケッチ)を見た時に、よくあれですぐにやろうと思いましたね」先生の問いかけには山本も会場も大笑い!やはりそこ、先生も気になっていたのですね!

「先生にお願いする前に海外も含めいろんな方に提案していただいたんですが、格好いいけど何かワクワクドキドキしないんです。でも、先生のはむちゃくちゃドキドキするんですね。本当にできるんかなぁというものが、実際にできていくんです。それがすごく楽しい」と山本。

メインショップの漆喰(しっくい)の壁には山本や従業員も参加して炭を貼りました。※当時の日誌はこちら
「あまりに人それぞれで本当に大丈夫かなと思いました」と振り返る山本に、
「実は大勢でこんなに大量にやったことはなかったから、はじめてやってみて途中でぼくもちょっと心配になってきたんだよ」という先生からの愉快な告白もありました。

ラ コリーナに関わってくださった職人さんたちについても、お話がありました。

「職人はそうとう優れた人たちでした。私が基本的な考えを示して、できない場合は代わりのやり方を示してくれる。それはとてもうれしかったですね。いちいち言わないけど、ものすごく手間もお金もかかることをやってくださって私自身学ぶことがたくさんあった」

作品集『La Collina 2017』には、そんな職人のみなさんのインタビューも収録しています。

最後は作品集を購入いただいた方に、先生からサインのプレゼントが。お一人お一人に心を込めてサインしてくださった先生に感謝の気持ちでいっぱいです。

5年前ラ コリーナの構想をお願いしたときから、藤森先生は本当に何度も近江八幡を訪れてくださいました。その度に斬新なアイデアをあたたかみあるスケッチで提案してくださった藤森先生。
私たちはいつも驚き感動しながら、ともに考え、つくり、先生に導いていただきました。
山本は言います。「藤森先生に出会わなかったら、今のラ コリーナはありません」

「建物をつくること」と「お菓子をつくること」は一見まったく違うようですが、「ものづくり」に対する姿勢は共通しています。他ではない“自分の中”から湧き上がるものを表現し形にすること、細部まで妥協しないこと、何より自分が楽しむこと。だから周りのみんなが楽しいということ。
先生は多くのことを、その姿で教えてくださいました。

藤森先生とラ コリーナの物語を少しでも知っていただきたいと思いこのイベントを開催しました。

藤森先生、快く引き受けてくださり本当にありがとうございました。
私たちたねやグループ一同は先生のことが大好きです!


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