暮らしとお菓子

玄猪 -げんちょ-

冬の気配がちかづく十一月の古い呼び名は亥月。
「亥の月亥の日亥の刻に餅を食べると万病を防ぐ」との言い伝えから、この日にお餅を食べ無病息災を願う風習がありました。
平安時代の宮中ではじまったこの行事では、臣下たちに「玄猪餅(げんちょもち)」が下賜されたほか、民間では秋の収穫を祝い「亥の子餅」を作ったといいます。もともとは七種の新穀をつかったとも、三色の餅に仕上げたともされる亥の日のお餅。それがいつの頃から亥の子の文字どおり色や形で猪に見立て、子孫繁栄への願いもこめられるようになりました。
また昔から亥の月亥の日には炉や火鉢を出す習慣もあり、茶の湯では現在もこの日に「炉開き」がおこなわれ茶菓子には亥の子餅がもちいられます。
朝夕の冷え込みが厳しい折、亥の子の名前で親しまれてきた歳時菓子。栗をつぶ餡と求肥で包み、桂皮末の香りもほのかに晩秋をいろどります。

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