渡邉美和子医師 コラム 第2回『お菓子から変えよう!日本人の危機的食生活』2016/06/08更新

前回のコラムでは、なぜ「食べた方が身体に良いお菓子」を開発することになったか、そのきっかけと思いをお伝えしました。今回は、どうやってお菓子作りにその思いを生かすのか、具体的な取り組みをご紹介したいと思います。
医師になって20数年になりますが、研修医の頃と比べると現在の患者さんの生活習慣病事情は大きく変わってきていると感じます。もちろん、当時から「成人病」としてその増加が懸念されてはいましたが、健康診断をしていて少なくとも20代や30代の方々に生活習慣病関連の異常値を見ることは極めて少なく、安心して診療できる年代でした。しかし、今では30代ではもちろん、20代、10代の方にも血液検査の異常値が見られる方が少なくありません。この異常値は、ちょっとした食・運動習慣の改善ですぐに正常化するもので、体質というよりも、生活習慣の乱れが引き金となって生じているケースが圧倒的です。
生活習慣一つでいかに人の健康が左右されるのか、と痛感します。

日々の水分補給を水やお茶ではなく糖分のたっぷり入った清涼飲料水に頼る、食事はすぐに手にとれる菓子パンやインスタント食品を「ながら食い」といった食習慣に加えて、ゲームやモバイルの普及なども影響した慢性的な運動不足が加わり、まさにライフスタイルそのものが「不健康」な危機的状況になっています。
美味しいお菓子を用いて私たちがご提案したいのは、大地の恵みを存分に生かし、季節の彩を感じられ、五感を刺激する、そんな食習慣です。

「食べた方が身体に良いお菓子」は次の点に考慮しています。

  • カロリーを抑えても満足感のあるお菓子
  • 上手な糖質摂取
  • 腸!イイ食材を用いること

食べ過ぎなくても、心がほっこりし、脳にも「満足」の信号がきちんと伝わる、「五感を刺激する美味しさ」を備えていること。 糖質をただ制限するのではなく、ビタミン・ミネラルなど必要な栄養素を補いながら、血糖値の急激な上昇を抑制する効果が期待される食物繊維も共に摂れること。
そして、食物繊維は腸内環境も育てる優秀な成分です。腸の状態を良くすることは便秘などの消化器症状だけではなく、生活習慣病の改善を始め様々な病態に良いのではないかと最近注目を集めています。 「腸!イイ食材」は、慶應義塾大学医学部腎臓内分泌代謝内科教授であり第88回日本内分泌学会学術総会の会長を務められた伊藤裕教授のご著書「腸!いい話〜病気にならない腸の鍛え方」(朝日新書)から頂いている命名です(腸内環境を良くすることがいかに大切か、大変わかりやすく紹介されている著書です)。 同学術総会ではもちろん、今年の第16回日本抗加齢医学会総会で監修しているアンチエイジング弁当テーマの一つでもあり、飽食でありながら栄養(バランス)失調とも言える現代の食習慣を改善させる大きな要素であると考えています。
食物繊維を手軽に摂ること以外にも、発酵食品をお菓子に応用するなど、今後も「美味しくて身体に良い」お菓子を、心を込めて制作して参ります。