ごあいさつ

謹んで新しい年のご挨拶を申し上げます。

お菓子をつくって販売する。明治五年からこのただひとつの商いを続けて百五十年。今年はたねやにとって記念すべき年となります。戦後まもなく、洋菓子のクラブハリエが創業、昨年早くも七十周年を迎えています。百五十年の間に和・洋菓子共に順調な商いをさせていただいているのも、一重にも二重にもお客さまのご愛顧ご贔屓あってこその賜物と改めて感謝いたしております。
  ありがとうございます。

 単に百五十年の歴史と申しましても、その間、様々な時代の様々な社会の状況が有ったはずで、普段、ともすれば忘れがちなことを、このような機会に想像を巡らせ、最近のことばで表現するならば、持続可能性を維持してきた由縁を深く振り返り、見直し、これからの商いの参考にしていきたいものです。でなければ、百五十年という数字のみの歴史観に足元をすくわれかねません。

たねやが周囲を村々の美しい田園や湖に、そしてそこに住む人々の生活文化のなかに生まれたことには大きな意義を持っています。近江の湖東地方は昔から美味しいお米や穀物を生産する地として、京阪神の街々にもよく知られていました。この事実はまぎれもなくお菓子の素材となる優れた穀物産地の真只中でお菓子づくりを始めたということです。おそらく豊かな素材に恵まれての選択だったのでしょう。それ以前は文字通り種苗を取り扱い「たねや」という店名もそのままに種からお菓子づくりにと続いています。

歴史というものは本当に不思議なものです。時計という機械が示す単なる時間の経過のみで理解することは決して出来ません。その時、その時代の人々の生きる姿が重層的に影響しあいながら留まることなく移りゆく何か、というものが歴史というものではないでしょうか。その対極にあるのがおそらく「自然」とか「土」というものです。なぜならば、これらは永遠に「繰り返す」という特徴をもっているからです。私たちはそのような自然から学ぶことは多々あります。「自然」や「土」は歴史を超えたものなのですから。

たねやには「キャンディファーム」と呼んでいる農園の部署があります。そこでは、主に若者たちが、直接「土」や「自然」に触れ、田んぼを耕し、やがて大きな森にと、植林をし、木々を育て、日々がんばっています。「ラ コリーナ近江八幡」の地も彼等、彼女等の手によって昭和の美しい里山の風情を再現すべく整備され、お客さまにも望外なるご好評を頂いています。「ラ コリーナ近江八幡」は一菓子舗の店舗ではありますが、それに加え、多少大げさな言い方をすれば、たねやグループの社会的哲学を実践する拠点でもあるのです。そこは近江の幾千年も続いてきた「農」や「土」という一字に秘められた人々の生活との遠い歴史が今もって息づいている証としての作業と空間の場でもあります。美味しいお菓子づくりや販売とて同じ事。たねやグループの仲間たちは日々新しい歴史を創造しているのだという自覚のもとに、有意義なる仕事に励んでおります。

本年もご愛顧ご贔屓のほどどうかよろしくお願い申し上げます。

 

たねやグループCEO 山本徳次
たねやグループCEO 山本昌仁
2022年1月1日

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