渡邉美和子医師 コラム 第8回
日牟禮ひむれ茶屋から『食べて学べる健康食生活』2020/02/01更新

お食事は毎日三度の繰り返し。たまに健康を意識して徹底的にこだわるより、日々習慣的に良い食事を楽しめることが理想です。前回は、日牟禮茶屋でご提供している「たねや膳」で重視している、健康になるために摂るべき食材の種類や選び方を中心にお伝えしました。

今回は調理法の面から工夫できる「健康的美食のコツ」についてご紹介をさせて頂きます。

洗い方、切り方ひとつで栄養素がかわる

食材を扱う際に「鮮度」は誰もが意識することと思いますが、入手してからの時間だけではなく、保存法や調理法でも鮮度は変わり、それは栄養面にも深く関係します。空気に触れる時間や面積が大きければ「酸化(サビ)」が進みやすくなりますから、なるべく空気に触れないように保存する。

最近流行りの時短料理で、野菜などをまとめて切った状態で保存という方法は、特に葉物野菜などにはあまりお勧めできません。切っておく場合も、なるべく空気に触れる断面積が小さくなるような工夫が必要です。

野菜を洗う際にも、丸まるの状態で洗うことがお勧めです。切った状態で水にさらされると、断面からビタミンCやビタミンBといった水溶性ビタミンが流れてしまうからです。同じ野菜の量でも、洗い方、切り方ひとつで含有栄養素の量が大きく変わってきてしまいます。

ゆでる、蒸す、炒める― それぞれの特性を生かした調理法を

同じ理屈で、切った野菜をゆでると、断面からゆで汁に流れ出てしまう栄養素があります。
スープやお汁などゆで汁も食するのであれば問題はないですが、捨ててしまうのであればもったいないことです。無水調理のような形でなるべくゆで汁を少なくするか、野菜であれば蒸すことがお勧めです。

健康を考えて油を使う炒め料理を避けるという方もいらっしゃいますが、油も体にとっては必要な栄養素。コクを出すなど味に深みを加えたり(減塩に繋がる)満腹感を得る効果もあり、上手に活用したいものです。またカロチンやビタミンEなど油と一緒に食することで吸収がよくなる栄養素もあります。

調理の際には使う油の種類を選ぶことが大切です。炒め物に適するのは、熱で酸化されにくい油、例えば国産の菜種油や椿油(カメリアオイル)、アボガドオイルなどを私はお勧めしますが、えごま油やアマニ油などのオメガ3脂肪酸は熱で酸化されやすいので注意が必要です。

またごま油など風味の良い油は、独特の香りで旨味も引き出せるため減塩に活用できます。
ココナッツオイルの甘い香ばしさは、ホットケーキやクレープなどのお菓子に入れる砂糖を減らせる効果が期待できます。

調理はなるべくシンプルに

見た目や繊細な味、食感を重視するために野菜の皮を厚めに切って加工するおもてなし料理もありますが、皮には食物繊維やその他の栄養素が豊富に含まれることが多く、日常の調理ではできる限り食材の丸ごとの活用をお勧めしています。
熱で壊れる栄養素は案外少ないものですが、それでも素材の味を生かすために調理時間はなるべく短く。
何より出来立てを召し上がって頂くことが一番美味しく、栄養学的にも優れることが多いです。

たねや 日牟禮乃舍