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ラ コリーナ日誌

柚子の旅2019【愛媛・南予】

Text : 臼井将史(原材料管理室)

  • #素材をめぐる旅
11月下旬。柚子の収穫です! 愛媛県南予地方。ここは瀬戸内海の影響を受け、降水量が少なく乾燥した地域。冬は季節風が強く吹きます。 こうした寒暖差のある山間部で育った柚子は、皮が柔らかく、何と言っても香りがいいんです。 柚子は寒くなると黄色く色づいてきますが、今年は気温が高く色づきが遅れているようで、こんなことは初めてだそうです。 地球温暖化の影響でしょうか。 こうした気候の変化は農作物に大きく影響しています。   「桃栗3年柿8年、柚子の大馬鹿18年」 などと言われるほど柚子は成長が遅く、種から育てると収穫まで16〜17年はかかるそうです。 そのため、ほとんどがカラタチの木などを台木に、接ぎ木をして栽培しています。 枝をロープで下へ引っ張り、全体を広げるようにして栽培します。 こうする事で、日当たりも良くなり、木が高くなり過ぎないので収穫の作業がしやすくなるという利点があります。およそ3年くらいで1個、2個と実がつき、5年も経てば沢山の実がなります。   みなさんご存知でしょうか?柚子の木には鋭い棘があります。 この棘が柚子の実に刺さり、そこが腐ってしまいます。 手摘みで収穫するため、手や顔を傷付ける事も。 また、収穫と同時に剪定も行われます。 今年実をつけた枝には翌年実がつかず、そのまま放っておくと他の実が大きくなりにくいなど来年の収穫量にも影響が出るためです。 「枝を更新しないと木が古くなるにつれ、実はなっても汚い柚子になる」と、柚子農家の宮本さん。 きれいな柚子が評判です。 剪定した後の枝。これも放っておくと大変です。乾燥すると棘が長靴を突き破るほど硬くなります。 そのため、細かく刻んで木の根元へ撒き、土へと還していきます。 このように収穫作業もかなりの手間がかかります。 最盛期は朝早くから山に入り、1日で1トン800Kgほど収穫するそうです。 それでも、「筋肉つけると元気になる。動いているから元気」と宮本さん。御年88歳、まだまだ現役です。 柚子と言えば、もうすぐ冬至ですね。 冬至に柚子湯に入り、南瓜を食べれば風邪を引かないという言い伝えがあるように柚子は血行を促進し冷え性を緩和したり、香りにはリラックス効果も。 また、なんきん(かぼちゃ)、にんじん、ぎんなん、うどん…など「ん」のつく物を食べる事を「運盛り」と言って縁起を担いだそうです。 冬至は一番冬の寒さが厳しい時期ですので、柚子湯に入って南瓜を食べるというのは体を温め栄養を蓄えるという先人の知恵だったのかもしれません。 季節の節目を大切にするとともに昔ながらの冬の乗り切り方を取り入れて、私たちも元気に冬を乗り越えたいですね。 2019年の冬至は12月22日です。 寒さ厳しくなりますが、柚子とともに冬の季節をお楽しみください。