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人と自然が主役の建物です(2)
たねや農藝, フェロー | 2014/06/04  15:35
Text : 事業部

ラ コリーナ近江八幡のベースキャンプとも言える、たねや農藝。建築設計をしてくださった京都大学准教授 小林広英先生へのインタビューです。

第二回目は、たねやグループとの出会いと、設計テーマのお話です。 ※第一回目の内容はこちら。

■たねやグループとの出会い

小林 そんなことがあった後、たねやの会長さんがバンブーグリーンハウスに興味もっているからと言っていただいて。ラ コリーナ裏手の里山にある竹林も放置されているから、つなげてやったらどうやろ?ということで紹介していただいたんです。それで、お会いしてすぐ、「とりあえず、五棟作ってもらいましょ」みたいな話をされました。
え?
小林 いきなり初対面で五棟も作らせてもらえるなんて、本当にびっくりしました。何年もかかって三棟なのに、五棟まとめて作ったら、本当に里山放置竹林の整備につながるのではという期待感と、五棟一気にという初めてのことに、不安感が交錯しました。

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小林 しかし、そうこうしてるうちに、2012年4月3日に滋賀県を襲った爆弾低気圧で、百菜劇場のハウスが飛ばされてしまったんです。
ありました、ありました。大変な雨や風でした。
小林 これはしまったなーと思ったのですが、とにかく至急復旧するのが大事だということで、もう一度作りなおしました。補強方法も改善し、今は大丈夫だと思います。なにか試行錯誤を繰り返して収斂される風土建築の発達過程をみる感じです。
なるほど。
小林 そうこうして、現場に来る機会があったときに、今度はたねやの女将さんから、「なんかえらい見事に飛んだらしいねえ」とか言われまして。「ああ、これで五棟終わりか…」とか思っていると急転直下、「ここの施設いっぺん考えてみて」と言っていただいた。これがたねや農藝の設計に関わるきっかけです。
そんな経緯があったんですね。
小林 ですので多分、ハウスに被害がなければ、今頃敷地の片隅でバンブーグリーンハウスを作っていて、たねや農藝の設計は別の方がされていたと思います。
すごい巡り合わせですね。
小林 ええ。すごい巡り合わせですよ。ルッキさんにお会いした。ハウスが飛んだ。提案を。みたいな話です。

■ヒューマンスケールな建物を

小林 最初はそんな始まりだったんですが、その後、設計条件をいただき、結構大きな施設であることがわかってきました。ですが、建設する敷地を見たり建物内での活動内容を聞く中で一貫していたのは、なるべくヒューマンスケールに抑えた施設のイメージでした。敷地になじみ自然と一体化するようなイメージです。
たねや農藝のある場所は、少し囲われたようなすり鉢状で、とても良い場所ですよね。
小林 しかし、1000㎡も超える建物を色々な形で納めようとしても、なかなか地形に馴染むような納まり方が見つかりませんでした。それと、屋外に山野草を置くスペースも考える必要がありました。

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小林 ところが、ある日、二つにポッと建物を割ったらどうかな、と思う瞬間があって二棟に分けたらスケール感がピタッときはじめました。そこから、地形に添わして若干緩やかにするとかやりはじめて。

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小林 それと、農作業小屋での活動イメージを重ねながら色々と検討する中で、今のようなかたちになりました。
そうしてできたのが、この工房棟と、あちらの栽培棟ということですね。
小林 このスケールの建物であれば、真ん中にある柱がなくても十分もつ構造体を考えることができるのですが、構造部材もヒューマンスケールに抑えたかったので、あえて柱を立てることで木の柱梁寸法を小さくしました。

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柱がなければ、例えばどのようなデザインになるということですか?
小林 例えば体育館みたいになるかもしれません。技術的には全く問題ありません。でも、ここではあえて大きな部材や複雑な構造形式を組み合わせるのではなく、柱を立てることで家みたいな感覚の寸法に近づけるようにしました。結果的に、柱の存在自体が全体的にも良いスケール感をもたらしていると思います。
ヒューマンスケールというのが、先生自身の中にもテーマとしてあって、ここにもぴったりきたということなんですね。

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※次回、地域資源との関係についてのお話につづきます。お楽しみに。


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