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ラ コリーナ日誌

人と自然が主役の建物です(3)

Text : 事業部

  • #キャンディーファーム(農藝)
ラ コリーナ近江八幡のベースキャンプとも言える、たねや農藝。建築設計をしてくださった京都大学准教授 小林広英先生へのインタビューです。 第三回目は、地域資源との関係についてです。 ※第二回目の内容はこちら。

■地域資源の循環的利用 ~竹林の整備と建築~

小林 実はたねや農藝を設計させていただくときにお願いしたのは、裏手の竹林の整備とからめるような仕組みづくりをさせてほしいということだったんです。
最初からおっしゃっていたのですか。
小林 はい。それをやらせてもらえたら、ちょっとえらそうなのですが、やりたい、みたいな。
それはやはり…
小林 さきほど説明しましたように、現代社会における地域資源と建築との結びつきを考えるということですね。ここでは、竹の循環的利用と里山整備を施設運営の一部に位置づけるということです。
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小林 このようなコンセプトをたねや農藝では実現できる可能性があります。バンブーグリーンハウスでも同じようなことを考えていましたが、一棟での竹材利用量はしれている。
はい。
小林 でも、ここでは実際の企業活動に取り込むことで、里山環境へのインパクトを有しています。
今まで鬱蒼としていた竹林が、まるで生き返ったようです。
小林 整備できていますでしょ。ちゃんと現実的に結びついてる。
はい。竹チップになったりして、大いに活用されています。
小林 そうです。チップはランドスケープを担当された重野さんのアイデアなんですが、あとは、トラクターの屋根付きシェルター、山野草や農作物の栽培棚などいろいろな場面で竹用途を考えています。
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竹を使うというひとつのアイデアが、色んなところに結びついてきていますね。
小林 無理矢理じゃなくて、実際の活動のなかで結びついている。
繋がっています。
小林 個人的にもすごくやりがいがありました。建築デザインのおもしろさだけでなく、竹林整備と結び付けて実際の建物を設計できることは大きかったです。
それは嬉しいですね。
小林 はい、すごく嬉しいです。

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地域とのつながりの中で

小林 山本社長が言われていましたが、今まで放置竹林の前を車で通り過ぎていた地域の人が、最近はきれいな竹林を見ながら歩いて通られるようになったとか。
作業をしていると、声をかけていただいたり。
小林 やっぱり、いろいろなところに影響していますね。
はい。いろんな広がりが。
小林 竹林の整備作業もたねやの従業員の方々にご協力いただきました。最初は手間取っていたのが、だんだんと熟れてくる。手を動かすことでいろいろな技術や知識が蓄積されていくように思えます。そのような活動を誘発する施設と考えたら、やっぱりすごく意味がある。この地域に建ってる意味が見えてきます。
深い。
小林 けっこう深いでしょ(笑)。
先生のお考えになっていることと、わたしたちたねやグループが、地域に根差して、土地に根差してやりたい、と想っていることが、本当に合致していますね。
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小林 私は知らなかったのですが、たねやでは以前から、どんぐりプロジェクトなどに取り組んでいたのですね。
はい。5年前からやってます。
小林 それも、地域の資源をもう一度利用させてもらうという点で同じような理念を感じます。
お菓子屋の域をこえて、いろんな方々と交流していきたい、という想いも、ここでは叶えられるような気がします。
小林 百菜劇場のハウスで農夫と間違えられたことから始まって… 何か不思議な感じがします。
そうですね。ルッキさんと小林先生がお会いされたとき、わたしもその場にいたのですが、バンブーグリーンハウスを見たルッキさんは、「とてもエレガントだ」とすごく称賛されていたのを覚えています。
小林 本当に、不思議なご縁です。
※次回、建物を作るプロセスと、設計アイデアについてのお話につづきます。お楽しみに。