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アリス・ウォータースさんのメッセージ
コンセプト | 2018/05/28  09:40
Text : 國領美歩(広報室)

4月下旬、滋賀県に「食」に関する世界的な活動家アリス・ウォータースさんがお越しになりました。
アリスさんが展開する「エディブル・スクールヤード(直訳すると、食べられる校庭)」という活動。
学校に菜園やキッチンをつくり、子どもたち自らが野菜を育て収穫し、料理をしてみんなで食べることを通して、持続可能な暮らしや自然との共生などを学ぶ「エディブル・エデュケーション(食べられる教育)」を伝えるため、はるばるアメリカから滋賀へ来てくださいました。

アリスさんはアメリカ・カリフォルニア州バークレーでレストラン「シェパニース」を開き、オーナーまた料理人として「美味しい革命」を起こし続けて来られました。地元産の新鮮な旬の食材を使うこと。食材の生産者であるファーマーとの関係性を大切にし、しっかりとした対価を支払うことで農家を守ること…
「食べ物で世界を変えることができる」といった一貫した信念のもと最高においしい料理を提供し続け、お店は世界的な有名店に。そのコミュニティーを広げ「スローフード」を提唱して来られた方です。

私たちたねやグループもお菓子という「食」を扱う企業です。アリスさんが世界に向けて発信する考えや活動は、私たちが今後進んでいく道の指標となる機会と捉え、機会をいただいてシンポジウムを含む3日間、ご一緒させていただきました。
本当に大切なことを教えていただいたアリスさんや関係者のみなさまに感謝して、私たちが受け取ったアリスさんからのメッセージをお伝えします。

4月20日、アリスさんは「エディブル・スクールヤード」について、滋賀の子どもたちに伝えるため、近江八幡市立島小学校と大津市立上田上小学校を訪れました。この学校菜園のプロジェクトは1995年にスタートし、現在では60数カ国、約5500校で実践されている世界的なムーブメントになっています。

「Welcome to Shima!!」
英語学習にも力を入れている島小学校では、全校児童による元気な英語のあいさつでアリスさんをお迎えしました。歓迎の歌を一生懸命歌う子どもたちを前にキラキラとした表情のアリスさん。6年生によるお米づくりや西の湖のヨシを使った松明づくりなどの学習発表も、とても嬉しそうな表情で聞いておられました。

アリスさんは、エディブル・スクールヤードを実践する様子を素敵な写真で紹介してくださいました。
「野菜の他にお花も大好きで食べれられるお花も育てていて、時々サラダに入れています」
「ここにはオーブンがあって、収穫したトマトやトウモロコシを使ってピザを焼いたりもするんですよ」
「科学の授業ではコンポスト(堆肥)についても学んでいます。みなさんはコンポストをやっていますか?」
「スクールガーデンでは、私も中学2年生に戻ったような気持ちになるのよ」…

アリスさんは本当に楽しそうに、子どもたちと対話するようにお話されました。
学校菜園にはいかにワクワクドキドキがつまっているかを知り、「こんなに楽しそうな授業があるならやってみたい!」と思ったのではないでしょうか。島小学校の子どもたちの目も輝いていました。
質問の時間には、アリスさんと児童の楽しいやりとりに、見ている側も思わず笑顔になりました。

「あなたたちは希望です。みなさんが世界を変えていくことは間違いないと思います」
アリスさんからの最後のメッセージに胸が熱くなりました。子どもたちの胸にも深く深く届いたと思います。
子どもたちと正面から向き合い、信じ、こんなに力強い言葉を直接かけることができるアリスさんから、私たちも多くのことを学ばせていただきました。

希望や夢を相手の目を見て正面から伝えることは、大声を張り上げることのないアリスさんの“革命”の姿勢なのだと感じました。アリスさんの可愛らしい笑顔と人柄に、子どもたちはすぐに打ち解けたようでした。
こうして大きな共感の輪が広がっていくのですね。


続いて大津市へ移動して上田上小学校へ。

学校の裏手に大きな畑がある上田上小学校では、アリスさんからのお話の後に草を刈ったり運んだり、乾燥させて良い土をつくるための肥料を準備する活動がありました。

はじめはそばで眺めていたアリスさんも、「私も一緒にやりたいわ!」といって子どもたちのなかに。
子どもたちの輪のなかで一緒に飛び跳ねながら楽しむ姿がありました。

豊かな自然に恵まれた滋賀県では、もともと緑豊かな校庭があったり畑があったり、環境学習を実践するにはぴったりの土壌があります。上田上小学校でも以前から地域と連携して伝統の「菜の花漬け」づくりを行い、大豆から育てる味噌づくりにも取り組んできたそうです。
土を踏み、土に触れ、自然の中で学ぶ豊かさに溢れた滋賀の学校に、アリスさんも関心した様子でした。


翌日行われたシンポジウムには、全国から駆けつけた多くの人々がアリスさんの話に耳を傾けました。
全国に先駆けて県をあげてSDGs(持続可能な開発目標)に取り組む滋賀県と県教育委員会、滋賀経済団体連合会が共催し、ともに理解を深めました。
後半はNELIS共同代表のピーター.D.ピーダーセンさんの進行で、滋賀県の三日月知事や大津市の越市長、Think the Earthの上田壮一さんとのパネルディスカッションも行われました。

アリスさんは「ファストフード」と「スローフード」を対比しながら、それぞれ単なる食べ物のことに留まらず、価値観・文化として現代に暮らす私たちに大きな影響を与えていること。私たちの「食べ方」はそのまま「暮らし方」であるということを訴えました。

スローフードカルチャーを象徴する、アリスさんからの6つのキーワードもとても感銘を受けました。
Diversity(多様性)
Interconnectedness(相互依存)
Generosity(寛大さ)
Beauty(美しさ)
Collaboration(協働)
Simplicity(シンプルであること、複雑でないこと)

ただこれは、あくまでアリスさんから与えられたヒントのようなもので、どう捉え答えを出して行動するかは自分次第。私たちに問われているのだと思いました。豊かさとは?幸せとは?
アリスさんの言葉を通して、自分はどう生きていきたいのかと自問するような時間でした。

これらのことを、アリスさんは希望あふれる子たちにこそ伝えたいと思い、可能性を感じ、エディブル・スクールヤードという教育現場を舞台にした活動をスタートされました。
最後に大きなエールを送ってくださいました。
「滋賀には豊かな歴史があり、美しい自然があります。深い農業の伝統文化が根付いています。
啓蒙的な自治体もあり、“美味しい革命”を率いていくのにふさわしい場所だと思っています。どうかすべての学校でエディブル教育を提供していってください。そして、オーガニックでサステナブルな農業が滋賀で広く行われることを熱望しています」


たねやグループからも山本はじめ、お菓子づくりに関わるスタッフ、農業部門で働くスタッフ、社内保育園で日々子どもたちと向き合うスタッフなどが参加させていただきました。それぞれの中に、これから育てていくべき大切な“種”をいただいたような気がします。

アリスさんは著書の絵本の主人公にもなっている娘のファニーさんと一緒に来日されました。
本当に素敵な、愛にあふれた親子の姿がありました。
講演の中でも、「どんなに忙しくても私は家族を大切にします」という言葉があり、とても感動しました。
我が子を思う気持ち、近所の学校に通う子どもたちを思う気持ち。そんな身近でシンプルな愛が込められているから、アリスさんの運動は世界中の人々に愛され、受け入れられ、熱を帯びているのだと感じました。

アリスさんからのメッセージ。みなさんはどう受けとられますか?


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