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みんなでつくるLAGO

2026.09.04 Text : 山﨑 恵理子(LAGO琵琶湖の森)

生き物と茶畑 〜グリーンティ土山を訪ねて〜

  • # みんなでつくる

近江の土山地域では、江戸時代から茶栽培が行われており、県下最大の生産量を誇ります。
あまり知られていませんが、実は、茶畑も里山の一部であることをご存知でしょうか。
人が暮らしのために自然を活かしながら、生き物や自然、そして地域も豊かになってゆく。
今回は「生き物と茶畑」という視点で、抹茶の生産者のグリーンティ土山さんを訪問しました。

土山は滋賀県の南東部、甲賀市の鈴鹿山系の麓に位置し、近くを野洲川が流れています。
川筋に茶畑があります。気温に高低差が生まれることで野洲川から霧が発生し、湿度が保たれ、茶の木の生育にもよい影響を与えるのだそうです。

管理されている畑の一部。奥には茶畑が広がっています。
「ここから見る景色は抜群です。」と代表の藤村さん。

ここでは茶の木の幼木を育てているとのこと。幼木から育て、茶葉を収穫できるようになるまでには6年かかるそうです。スタッフの皆さんと丹念に世話をし、大切に管理されていると教えていただきました。
 
そんなグリーンティ土山さんの茶畑の周辺にはいろいろな生き物が生息しています。

茶畑の隣に神社があり、川の源流となる生水(しょうず)、いわゆる水が湧き出ているところがありました。
その水路にいたのは巻貝の一種「カワニナ」。

カワニナは、比較的水の綺麗な河川や用水路に生息します。ホタルの幼虫の食べ物としても大切な存在です。数は減ってきているそうですが、ゲンジボタルやヘイケボタルもこの辺りで見られるそうです。

水辺の近くの畦道に小さなアマガエルも飛び出してきました。

茶畑の隣のサクラ並木で見つけたのは、艶々と緑色に光る「タマムシ」。
タマムシは幼虫時代、古くなったサクラなどの幹の中で暮らします。大人になるとピカピカの体になって外の世界に出てくるのです。どうやらこのタマムシは出てきたばかりの様子。偶然の出会いにうれしくなります。

イトトンボの仲間「オオアオイトトンボ」もいました。このトンボは木の枝に卵を産む習性があります。
オオアオイトトンボがいるということは、周りに木が多い水辺の環境があるということ。
この辺りで羽化したものは、周辺の田んぼや茶畑でエサをとって暮らしているようです。

小さな体ながら、大きな声で元気よく鳴いていたのは「ニイニイゼミ」。

茶畑の隣には草地もありました。よく茂ったクズの葉にくっついていたのは「コフキゾウムシ」です。
とても小さい昆虫ですが、よく見るとつぶらな眼をしていて愛嬌があります。

草むらには「ショウリョウバッタ」の姿も。
 
他にも、水辺の生き物ではトノサマガエルやメダカ、野鳥ではウグイスやカワセミ、サギ、フクロウ、そしてキツネやリス、なんとムササビまで!

周辺には本当にたくさんの生き物たちが生息しているそうです。

茶畑の周りには野洲川が流れている他にも、田んぼや草地など様々な自然環境が広がっています。
「大区画で茶畑をやっているのではなく異なる環境が隣り合っていることで、いろいろな生き物が見られるのかもしれません。」と藤村さんはおっしゃっていました。

蛾の幼虫が茶の木の葉を食べた跡

いろいろな生き物が見られる茶畑ですが、中にはお茶の葉を食べてしまう昆虫もいます。
「農家として、茶の木の葉を食べる虫を“食害する生き物”として見ることはありますが、生物を除去してお茶づくりをしようという意識はありません。」と藤村さん。

「全ての虫をやっつけようとすると、茶の木を食害するガやダニなどの天敵となる昆虫までいなくなってしまいます。茶畑で作業をしていると、トンボが飛んできてガを捕まえるし、ツバメも飛びながらガを食べるところが見られます。それからアマガエルも。茶の木の健康を人間が手伝いつつ、生き物と共存し、一緒に美味しいお茶を作っている、という感覚でいます。」とおっしゃっていました。

茶畑周辺を飛んでいたアカトンボの仲間。
トンボは肉食の昆虫で、茶の木の葉を食べる昆虫を捕まえ、食べてくれます。

目の前に広がる素晴らしい景色を見ながらいただく、甘く冷たいグリーンティーは格別!

お話を伺う中で、グリーンティ土山さんでは“自然の生態系を崩さない形で”お茶の生産をされているということが分かりました。トノサマガエルやメダカなど、様々な生き物に囲まれている土山の茶畑の環境を「何気なく見てきた、当たり前にある光景と思っていた。」と藤村さん。生き物が棲んでいる環境に人が共に暮らす。それが自然にある光景だということがとても素敵に感じました。

今当たり前にそこにいると思っている生き物は、温暖化という環境問題や、私たちのわずかな行動の変化によって存続をも左右されます。

生き物との共生も考えながら、大切にお茶を育ててくださっている生産者の方の想いをしっかりと受け止め、菓子づくりにつないでいくこと。そして人と生き物が共に暮らす里山環境の大切さを、LAGOではこれからもお伝えしていきたいと思います。

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