2025.06.21 Text : 山﨑 恵理子(LAGO琵琶湖の森)
LAGO生き物だよりvol.1
- # 水と森
- # みんなでつくる
LAGO 大津の琵琶湖の森では、多様な生き物が集まる近江の里山環境を目指し、さまざまな樹木を植えたり、昔から日本にある草花の種を蒔いたりしています。オープンから2ヶ月ほど経ち、少しずついろいろな生き物に出会うようになってきました。今回はその中でも、美しい蝶たちと、その生態を少し紹介します。
LAGOがオープンしたばかりの頃、早春のまだ草木が芽吹かず、緑が少ない風景の中、一番乗りで現れてくれたのはオレンジ色が眩しいベニシジミです。
ツバメシジミのオスです。翅(はね)の表側は、目の覚めるような鮮やかな青色をしています。美しいですね。幼虫はシロツメクサやカラスノエンドウなどマメ科の植物を食べます。一般に“雑草”と扱われることが多い植物ですが、LAGOでは幼虫のことを考えて、あえて種を落とすまで残すような管理をしています。
草刈りをしていると、ギシギシという植物にベニシジミの前蛹(幼虫が蛹になる直前の状態)がくっついているのを見つけました。幼虫はギシギシやスイバという植物の葉を食べて育ちます。この2種類の植物は人によって草刈り管理がされている土手でよく見ることができます。そういったことから、ベニシジミは人が草刈り管理をする土手や草地を好み、やってくるのです。
LAGOがオープンしたばかりの頃は、先ほど紹介した小さな蝶たちがよくやってきてくれていました。季節が進むにつれ、少しずつ大型の蝶もやってくるようになりました。
鮮やかなエメラルドグリーンとブラックのコントラストが美しいアオスジアゲハ。クスノキの仲間の樹木の周りを飛んでいるのをよく見かけます。
クスノキ科のシロダモという木の苗に、幼虫を見つけました。アオスジアゲハの幼虫は、クスノキ科の葉を食べて育ちます。成虫はそのことをよく分かっていて、シロダモの葉っぱに卵を産んだのですね。ちなみに蝶は脚で味を感じることができ、いろいろな植物の葉に止まって味を確かめて、幼虫が食べる植物に確実に卵を産むことができるのだそうです。
このアオスジアゲハの幼虫がいた苗木は、LAGOの記念植樹のイベントで地域のみなさんが植えてくださったもののうちの1本です。LAGOではスタッフだけでなく、地域の方とも一緒に里山環境を“みんなでつくる”ということも大切にしています。草花を植えたり草刈りをしたりと作業をする中で、お客様から「どんどん緑が出てきたね。」「これから育っていくのが楽しみやね。」など声をかけていただくことも多く、スタートしたばかりの里山を一緒に見守っていただいているような気持ちになります。
これからも地域の皆様と一緒に、多様な生き物が集まる里山環境づくりを目指していきたいです!