Loading...

サステナビリティ

取り組み

取り組み 一覧をみる

「土」と会話すること

Text : 讃岐和幸(キャンディーファーム 菜園)

  • #サステナビリティ
  • #キャンディーファーム(農藝)

みなさんの知っている「土」は、どんな「土」ですか? 今回は「土」と何度も会話した内容をお伝えしたいと思います。


コリーナで有機野菜の栽培を始めたのは2014年の3月でした。当時はまだメインショップも何もなく、敷地のあちこちで重機を使った工事も盛んに行われていました。 畑には運びこまれた土を使いましたが、自宅の畑と比べると色が全然違い、石などもたくさん混じっていました。その後、トラクターで耕してみると車体が土に沈みこんで全く動きません! 幸い、工事をしていたユンボに引き上げてもらいましたが、今でも思い出すと冷や汗が出てきます。この事態を起こした理由はあとあとわかりましたが、当時はわけも分からずにずいぶんオロオロしたものでした。 畑には夏野菜の苗を植え、肥料もそれなりに与えましたが、大きくならないばかりか肥料不足をあらわす葉色の薄い野菜が目立ちました。


そこで、ラ コリーナの土がどんな特徴をもっているのか立命館大学・久保先生のSOFIX(ソフィックス)分析※を行うと、結果は非常に痩せた土で、先生から『農業には向いてません』というコメントも…。 結局、この年の夏野菜はほとんど収穫できずに終わりました。 ※Soil Feritile Index:土壌肥沃度指標 このままでは何も育てられないと、土壌改良に本腰を入れることに。痩せた土を豊かにするため、豚糞やもみ殻の堆肥(たいひ)、米ぬかなどたねやグループの取引先から分けていただいた有機資材を土作りに活用しました。 土壌改良を進めるうち夏野菜は収穫できるようになりましたが、新しい問題も出てきました。冬野菜の発芽不良や腐敗です。とくに大根などの根菜類は先端が腐ってしまい、全く収穫できませんでした。 調べてみると原因はこの土地が持つ性質でした。八幡山と西の湖(にしのこ)に挟まれているため、水はけがとても悪い土地柄だったのです。以前、トラクターが畑に沈みこんだのもこの土地柄によるものでした。 『雨が降ったら、八幡山の尾根よりラ コリーナ側に降った雨は全部ラ コリーナに流れ込むし、隣は西の湖。そりゃ排水が悪くて当たり前。』 地元の方からはそんな言葉もいただきました。この方が農業をされているのは安土の繖山(きぬがさやま)と伊庭内湖(いばないこ)のあいだ。ラ コリーナと同じく土の乾かない土地ですから、説得力が違いました。 そこで排水をよくするため土を盛って畑そのものを高くし、暗渠(あんきょ)※排水も設置しました。この工事で畑に新しい土を入れたので土壌改良も再開。 ※暗渠とは・・・地下に埋めた排水溝などのこと。


こうした環境作りを続けるなかで2019年、SOFIX分析ですごい結果が出ました!なんと最高ランクの「特A」!! 土の状態は最高です! 実際、排水の問題が改善された2018年からは冬野菜もたくさん収穫できました。 ふりかえれば2014年に野菜作りを始めてからずっと、ラ コリーナの土に翻弄されてきました。けれど、問題が起こるたびこの土地を深く知ることができ、地元の人とのつきあいからも色々なことを学びました。 教訓を活かし美味しい有機野菜をたくさん作れるよう、これからも試行錯誤し「土」に話しかけていきたいと思います。

5つの柱