1月20日。 真冬の空気をあたためてくれる日差しで、北之庄沢の水面がキラキラ輝く中、 わたしは初めてのヨシ刈りを体験しました。
「北之庄沢」とは、ラ コリーナ近江八幡のほど近くにある水郷のひとつ。 昔は田舟と呼ばれる小舟をうかべ、その上を農作物や牛が行き来していました。 水郷に群生するヨシは、昔から日よけのためのすだれ(よしず)など、日常生活の中で利用されてきました。 ヨシ刈りは寒くなって枯れてしまったヨシを刈ることで、次に芽吹く新芽の成長を助け、越冬している害虫を防ぐ役割があり、ヨシによる湖水や湖岸の汚れから守ると言われています。
たねやグループでは毎年、北之庄沢でヨシ刈りを行っています。
「びわ湖の風物詩、ヨシ刈りをしてみたい。」
田んぼもない街で育ったわたしにとって興味をそそられる伝統行事、 しかし、ヨシ刈りの説明で現実を知らされることとなりました。
「絶対怪我のないように。」 それほど危ない作業なのか、始めるまでは分からずにいましたが、船を渡りヨシ原に移動。 3mの背丈のヨシを一本一本、鎌で刈っていると、先ほどの言葉が胸の中に蘇ってきました。
刈り取ったヨシの切り口は、踏んでしまうと、履いている長靴の底を突き破るほどの鋭さなのです。 刈られてもなお、長靴の底をつき通してしまう自然の力。びわ湖の力を感じた瞬間でした。
ヨシの切り口が刺さらないよう注意しながら、穂のあるヨシは刈り取り、穂のないヨシは足で踏み倒していきます。 スタッフが藁で丁寧に結び、ラ コリーナに運びます。 束は見た目よりずっしりとした重みを感じました。 刈り取ったヨシを藁網で束ね、円すい状に仕立て、ヨシを乾燥させます。 視覚的にもこだわった伝統的な「丸立て」。これをスタッフが仕上げていきます。
たねやグループでは、ヨシ刈りをCO2排出抑制とつなげる活動もはじめています。 今回のヨシ刈りのCO2排出抑制量は9.8トン相当※。 ※滋賀県が開発したヨシのCO2回収量算定方法を用いています。 https://www.pref.shiga.lg.jp/ippan/kankyoshizen/biwako/308987.html 刈り取ったヨシは松明の文化継承の取り組み、「たいまつフェス」で地元の方に使用いただきます。 伝統を守ることが自然を守ることに繋がり、ラ コリーナと地域を越えて、より広い範囲で環境を守ることに繋がっていく。 継続していける地域貢献活動、環境保全活動の一環として、「ヨシ刈り」を続けてまいります。