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田植えまでの道のり - 苗編 -

Text : 菊川 翔(キャンディーファーム)

  • #サステナビリティ
  • #キャンディーファーム(農藝)
  • #お米づくり

"自然に学ぶ"がコンセプトのラ コリーナ近江八幡の田植えは、2015年の開始当初から農薬を使わず、できる限り人の手で行う農業を実践しています。 今回の日誌では、苗を育てる過程を紹介します。


3月30日、今年の米作りが始まりました。 去年の苗づくりでは、浸種(しんしゅ)の日数を確保できなかったり、育苗(いくびょう)時期の長雨による日照時間や温度不足などで、全体的に細い苗ができてしまいました。 去年の失敗を糧に、今年はきっちりスケジュールを決め、日照時間や必要温度などの予備知識を頭に入れ、播種(はしゅ)の準備に取り掛かりました。


まずは「種子消毒」を行います。 左:キヌヒカリ 右:秋の詩 60℃の湯に種籾(たねもみ)を10分間浸し、取り出してすぐに冷水で冷やす工程です。 カビにより発症するバカ苗病(草丈が高く葉の色が黄色くなる)、いもち病(イネの最大の病気)、苗立枯病(成長が抑制され次第に苗全体が枯れてしまう)などの病気を防ぐことができます。 これらの病気をなるべく抑制するために、種子消毒を丁寧に行います。他の作物ではお湯に浸して種子消毒を行うことはほぼありませんが、水に強いイネはお湯に浸して行えるのが特徴です。


次に「浸種(しんしゅ)」を行います。 浸種は15℃の水に5日間ほど種籾を浸すことで、発芽できる環境を整えます。 種籾を見て、少し膨らんだ「ハトムネ状態」になると浸種完了の目安です。 浸種1日目 浸種5日目


次に「催芽(さいが)」を行います。 催芽は浸種の時より少し温度を上げた約30℃の水で1日間浸し、種籾から少し芽と根が出た状態(発芽)になると催芽完了の目安です。 しかし、今年は2日間催芽をしてしまい、想像以上に伸び過ぎて、まるで「もやし」のようになってしまいました。これは今年の反省点です。 ここで種籾を少し発芽させる目的は、播種(はしゅ)をした際に一斉に土から芽が出て(出芽)、苗の揃いを良くすることです。成長速度を合わせることで、日当たりなどが均一になります。


催芽が完了した種籾を乾燥させると、いよいよ「播種(はしゅ)」に取り掛かります。ラ コリーナ近江八幡で植えるイネの苗は全て手作業で播種します。 まず育苗(いくびょう)箱に半分ほど土を敷きます。これを床土(とこつち)と呼びます。 床土を敷き終わったら、床土に水を含ませ種籾をまんべんなく播(ま)きます。この時、まんべんなく播けていないと苗が上手く成長しません。 種籾を播き終わると、上から土を被せ(覆土(ふくど))、最後にもう一度水やりをして終了です。 催芽の時点でもやしのように芽や根が伸びすぎてしまい播種作業がしづらかったですが、種籾としてはあまり問題がなく、実際に苗も順調に成長しています。 播種が完了した育苗箱は自家製の「育苗プール」に綺麗に並べます。育苗プールの役割は水を溜めることで、設置した苗に水を供給することです。 ここから田植えまでの約40日間、苗を育てます。 ラ コリーナ近江八幡の田植えでは「手植え」をするため、手で掴みやすいように一般的に機械植えをする際の苗より大きく育てます。そのため、育苗期間を長めに設けています。 手植えでする目的は、田植えに参加する従業員が水や土に触れ、手植えをする大変さを知ってもらい、原材料を生産する大変さや、原材料のありがたさを感じてもらう(いわゆる「食育」)とともに、「手塩にかける気持ち」を再認識してもらうことにあります。そのため、ラ コリーナ近江八幡の田植えは手植えで行うことにこだわっています。 ここから1週間、2週間、1カ月と、徐々に成長していくのを見ながら、枯れないように育てていきます。 1週間 2週間 1カ月


田植えをするには苗を育てるだけではなく、田んぼの準備もしていかなければなりません。 続編では、田んぼの準備に取り掛かります。

5つの柱