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素材をめぐる旅 ー信州産ヘーゼルナッツー

Text : 山本 康弘(守山焼き菓子工房 工房長)

  • #サステナビリティ
  • #クラブハリエ
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9月16日・17日、信州産ヘーゼルナッツの視察のため、長野県長野市にある株式会社フル里農産加工さんを訪れました。

こちらで作られているヘーゼルナッツは、世界一美味しいと言われるピエモンテ産に負けないものです。
代表の岡田浩史さんに、ヘーゼルナッツを長野で作ろうと思ったきっかけなど、色々お話をうかがいました。

株式会社フル里農産加工 代表の岡田浩史さん


岡田さんが2010年の冬に、出張でイタリア・トリノへ行った際のこと。
雪の中、あたり一面にそびえ立つ果樹があったそうです。

2010年 イタリア ピエモンテのヘーゼルナッツ畑

それが世界的に有名なピエモンテのヘーゼルナッツだと知り、似た気候の地元長野でも栽培できるんじゃないかと考え、近所の農家さん達にヘーゼルナッツの栽培を提案しました。
ですが誰一人として手を上げる人はいなかったそうです。

2014年 苗木の仮植えをしたところ

そこで岡田さんは、家族の猛反対を押し切り勤めていた会社を早期退職。
農業経験ゼロの岡田さんと奥さんのふたりで、2014年に約100本の苗木を植えた事が始まりだそうです。
植えてから3年後、初めてヘーゼルナッツが結実した時の感激を熱く語っていただきました。

3年後のヘーゼルナッツ畑

1500粒の生産ができたあと、徐々に周りの農家さんに認めて貰うことができました。
2022年に植えたヘーゼルナッツは2023年には1.2トン収穫でき、安定した生産が出来るようになりました。
2024年度には約2トンを見込んでいるそうです。

岡田さんは6次産業にも取り組んでいます。
6次産業とは、1次産業(生産)、2次産業(加工)、3次産業(流通・販売)、全てに関わる農家のことです。

ヘーゼルナッツ入りのつくりたて生アイス

輸入のヘーゼルナッツとの違いは鮮度だと自信をもっておっしゃいました。
海外のものは加工してから時間がかかるため、どうしても酸化臭が出てしまいます。

岡田さんはヘーゼルナッツの鼻に抜けるよい香りを残すため、素早くパックする事で酸化を抑え、良い状態のものを届けています。

以前からラ コリーナのファンだと言う岡田さんの夢は、ラ コリーナのような自然の中でヘーゼルナッツを栽培、販売することです。

また日本からアジア圏の国に輸出できるよう、準備も進めているそうです。

今年は暑かったため、収穫はすでに終わりを迎えていました。
ヘーゼルナッツは木から落ちたものしか収穫しません。

落ちた実しか拾わないのがイタリア式。
木の上に実っているものを採ってはいけない。殻のままだと酸化しないし、虫食いも起こらない。
このように、岡田さんから熱い話を聞くことができました。

苦労して収穫されたヘーゼルナッツを、菓子職人である私たちが調理してより美味しい菓子にしてお届けします。
みなさんに国産ヘーゼルナッツの美味しさを知っていただくのが楽しみです。

5つの柱