2025.03.26 Text : 川尻七魅(キャンディーファーム)
LAGO活動日誌⑦ ~やまおやじの根巻き~
- # 水と森
2024年11月下旬、LAGO 大津にやまおやじを移植する前日、高島市マキノ町の雑木林でやまおやじの根巻き※作業に立ち会いました。
※根巻き‥木を移植する際に根を布や縄で巻くこと。土が落ちたり、根が傷つかないようにする作業。
2024年春、移植準備のためにやまおやじを掘り起こし、根切りが行われました。
根巻きをするために再び掘り起したやまおやじの根を見ると、切られた大きな根から力強くたくさんの細かい根がでていました。
ずっしりと静かな趣の上部からは想像できない根の力強さを見て、やまおやじの生命力にとても感動しました。
やまおやじは人が手入れしている雑木林のシンボルとして、LAGOの琵琶湖の森をプロデュースいただく今森光彦先生がとても大切にされています。
今回の根巻きに立ち会った際、今森先生にやまおやじへの想いをお聞きしました。
「やまおやじとの出会いは学生の頃でした。
最初にやまおやじを見たときはびっくりしましたね。大きな熊かと思って驚いたのを覚えています。その見た目と貫禄から、すぐに“やまおやじ”と名付けました。
やまおやじがある場所は、長年人が精魂込めて管理してきた雑木林の証です。やまおやじはそれが視覚化されている、そういう存在です。
そして、やまおやじのいる雑木林には、たくさんの生き物がいることも分かりました。人と自然が共存している場所なのです。私自身のフィールドとして、雑木林には随分通いました。」
更に、LAGOにやまおやじが移植されることへの想いをお聞きしました。
「今回、LAGOにやまおやじが移植されることは大変嬉しく、とてもわくわくします。100年以上経つ古木なので移植は難しいだろうと思いながら、しいたけを栽培している人に移植が可能なものか相談したこともあるほどです。LAGOでしっかり根付いて、健やかに育ってほしいと強く願っています。普段は雑木林でひっそりと佇んでいるやまおやじが、人がたくさん集まるLAGOという晴れ舞台に現れることで、色んな人に見ていただけることをとても楽しみにしています。」
また、LAGOでのやまおやじの役割についても、お話しいただきました。
「先ほども触れましたが、やまおやじは人が管理してきた雑木林の生き証人のような存在です。やまおやじの不思議な姿に出会い、“どうしてこのような形になるのだろう”と疑問に感じることから、雑木林に興味を持っていただくきっかけになればと思います。そういう意味でも、とても楽しみにしています。雑木林の大切さをたくさんの方々に伝えていきたいですね。」
▲今森先生が管理している雑木林 「萌木の国」
いのちをはぐくむ「琵琶湖の森」作りに向けて、今森先生とのフィールドワークを重ねる中で、人が管理し、人と自然が共存する場所の美しさに私自身何度も感動しました。
管理する人の心がこもり、草花やいきものが息づく場所はあたたかく、とても美しいです。
そんな人と自然が共存する“里山”の魅力をLAGO 大津を通して多くの方に伝えていきたいと思います。