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みんなでつくるLAGO

2025.03.11 Text : 桂 浩子(広報室)

近江八景 矢橋まんじゅう

  • # お菓子のおはなし

近江八景は成安造形大学の学生さんとの共同開発プロジェクトから誕生したお菓子です。
かつて大津にあった膳所(ぜぜ)城から見られたと伝えられる〈近江八景〉。和歌に詠まれ、浮世絵にも描かれた八つの景色を八つのお菓子で表現しています。
LAGOで近江の魅力や歴史にふれていただきたい。そんな願いをこめた詰合せのなかから矢橋まんじゅうをご紹介します。

矢橋帰帆(やばせのきはん)をあらわした矢橋まんじゅうはこし餡を包んだ酒饅頭。生地には滋賀県の地酒「七本鎗」の酒粕を使用し、二色に染め分けた生地は琵琶湖と船の帆をイメージしています。
たねやで青い色をお饅頭に使うことはめったにありませんが、矢橋帰帆が夏の景色であること、琵琶湖の色を表現したいと学生さんからもご意見をいただいたことから採用しました。

かつて琵琶湖では水運が盛んで、人や荷物を乗せた船が各地の港を行き来していました。草津の矢橋と大津をむすんだ渡し船もその一つ。東海道の草津宿から大津宿まで、瀬田川の橋をわたるより湖を船で横断するほうが近道だったようですが、風の強い日などはかえって時間がかかることも。ここから「急がばまわれ」のことわざが生まれたと伝えられます。

歌川広重の浮世絵では多くの帆掛け船が描かれる〈近江八景〉矢橋帰帆。LAGOのある場所は埋め立てられてできた土地ですから、かつて湖だったころ矢橋港へ戻る船が通っていたかもしれません。

近江八景ではお菓子のパッケージにもそれぞれの景色にちなんだ色や文様を用いています。矢橋まんじゅうの個装には夏の琵琶湖を思わせるさわやかな色のシールを添え、書家 水野恵氏による篆刻風(てんこくふう)の古漢字を配しています。

■矢橋帰帆
「矢」の字は写生です。真ん中にある「・」は矢がそれ以上割れないように縛った箇所を指しています。本来はもっと下にあるべきもの。これと「帰」と「帆」は三千年ほど前に使われていた金文体を用いて変化をつけてみました。「橋」の字は当時まだなかったので、二千二百年ほど前の篆書を使っています。その差は約八百年。そこでこの文字のみ白抜きにして、区別してみました。
「果想観譜 たねや・クラブハリエのための水野恵作品輯」解題より引用

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