2025.03.16 Text : 桂 浩子(広報室)
近江八景 瀬田もなか
- # お菓子のおはなし
近江八景は成安造形大学の学生さんとの共同開発プロジェクトから生まれたお菓子です。
和歌に詠まれ、浮世絵にも描かれた八つの景色を表現した八つのお菓子。そのなかから瀬田夕照(せたのせきしょう)をあらわした瀬田もなかをご紹介します。
瀬田夕照は瀬田の唐橋が夕日に照らされる景色のこと。歌川広重の浮世絵では奥に三上山、手前には小島にかかる長い橋が描かれています。唐橋は瀬田川にかかることから瀬田橋、瀬田の長橋とも呼ばれた古くからの要衝。橋のイメージから瀬田夕照に「ふくみ天平」をあてる案も出ていました。
瀬田もなかは貝のかたちをした最中種にベリー餡をはさむ手づくり最中です。
〈近江八景〉にはその季節、その場所で見られた景色が選ばれています。瀬田夕照は春。夕日のイメージとともに甘酸っぱいベリー餡で春らしさを表現しました。
最中のかたちは琵琶湖の特産として親しまれる瀬田しじみを模しています。開発のはじめのころ、学生さんに様々なたねやのお菓子を試食いただいた際、貝のかたちの最中には「かわいい」「一口で食べられる」とのご意見をいただいていました。
パッケージにはしじみをとる網をイメージした模様を用い、書家 水野恵氏による篆刻風(てんこくふう)の古漢字を配したシールでとめています。
■瀬田夕照
日光がくまなく行き渡るのは「昭」。「照」は灯火で隅々まで明るくすることですから、瀬田のあたりから美しい夕日を眺めれば、火の玉のように見えるでしょう。ここはあえて「照」を取りました。三日月のように見えるのは光のない月のこと、すなわち新月を指します。
「果想観譜 たねや・クラブハリエのための水野恵作品輯」解題より引用