Loading...

みんなでつくるLAGO

2025.03.18 Text : 桂 浩子(広報室)

近江八景 石山あんやき

  • # お菓子のおはなし

近江八景は成安造形大学の学生さんとの共同開発プロジェクトから誕生したお菓子です。
かつて大津にあった膳所(ぜぜ)城から見られたと伝えられる八つの景色をあらわした八つのお菓子。近江の魅力や歴史にふれていただきたい。そんな願いをこめた詰合せのなかから石山あんやきをご紹介します。

〈近江八景〉石山秋月(いしやまのしゅうげつ)は石山寺からのぞむ中秋の名月のこと。歌川広重の浮世絵でもぽっかり浮かんだまるい月と伽藍山(がらんやま)が描かれています。

伽藍山のふもとに石山寺が創建されたのは奈良時代。その後、観音の聖地として平安時代の貴族たちもこぞって詣でたと伝えられます。かの紫式部もその一人。参籠(さんろう)の折、琵琶湖にうつる月をながめ「今宵は十五夜なりけり」と書き出したのが『源氏物語』のはじまりとする伝説も残されています。

多くの人に親しまれてきた寺と愛でられてきた名月。石山秋月をあらわすお菓子の開発では、月を連想させる方法として「黒い生地に黄色い餡を包んだら、割ったときに満月が見える」という学生さんのご提案から、石山あんやきが生まれました。小豆の風味豊かな粒餡に黄色く染めた白餡を包み、夜と月をあらわしています。

また、石山寺に縁のある紫式部をイメージした個装の色や模様も学生さんからのご提案。平安時代以降、公家階級を中心に用いられてきた有職(ゆうそく)文様を紫色で描き、中央には書家 水野恵氏による篆刻風(てんこくふう)の古漢字を配しています。

■石山秋月
昔、石板を三角に加工して首にぶら下げ楽器として使っていたことから、ここではそれを表してみました。「山」は見たままの形ですが黒く塗りつぶしてアクセント。「秋」は本来木偏に火と書いたのですが、なぜか禾偏になってしまいました。「月」は三日月で真ん中の点は光を表します。
「果想観譜 たねや・クラブハリエのための水野恵作品輯」解題より引用

みんなでつくるLAGO一覧へ