2025.04.12 Text : 桂 浩子(広報室)
近江八景 堅田ひがし
- # お菓子のおはなし
近江八景は成安造形大学の学生さんとの共同開発プロジェクトから誕生したお菓子です。
かつて大津にあった膳所(ぜぜ)城から見られたと伝えられる〈近江八景〉。和歌に詠まれ、浮世絵にも描かれた八つの景色を八つのお菓子で表現しています。
近江の魅力や歴史にふれていただきたいとの願いをこめた詰合せから、堅田ひがしをご紹介します。
堅田落雁(かたたのらくがん)は琵琶湖に舞い降りる雁(かり)のこと。雁はカモ科の大形の鳥の総称です。歌川広重の浮世絵には堅田の浮御堂(うきみどう)と湖に降りる鳥のすがたが描かれています。
堅田ひがしはほうじ茶とミルク、二種類の落雁の詰合せ。ほうじ茶は雁をモチーフにした模様、ミルクにはさざ波の模様の木型を用いました。口どけよくなめらかな和三盆糖を使いそれぞれの味わいをお楽しみいただけるよう仕上げています。
2023年にフィールドワークで堅田をたずねた際、堅田落雁がお菓子の「落雁」の由来になったという説を教わりました。木型から生地を打ち出すさまが水面に降りる鳥に見立てられたのだとか。参加した学生さん、スタッフともに景色とお菓子のつながりが印象に残り、堅田落雁は早くからお干菓子にする方向で開発が進みました。
お干菓子をつくる木型もオリジナル。浮御堂や琵琶湖の波、翼をひろげた雁など様々な案を学生さんからいただき、そこから雁をモチーフにした模様が生まれたのです。
缶パッケージは落ち着いた色味で仕上げ、書家 水野恵氏による篆刻風(てんこくふう)の古漢字を配したシールでとめています。
■堅田落雁
「堅」の「臣」の字は目を横にした形で、「又」は手の形を表します。目にうっかり手指が入ってしまい、硬く目を閉じる様を表現したものです。下に「土」をつけることによって固い土という意味になります。
「果想観譜 たねや・クラブハリエのための水野恵作品輯」解題より引用