2025.04.16 Text : 桂 浩子(広報室)
近江八景 比良ゆずもち
- # お菓子のおはなし
和歌に詠まれ、浮世絵に描かれた景色をお菓子で表現した近江八景は、成安造形大学の学生さんとの共同開発プロジェクトから生まれた詰合せです。
今回は比良暮雪(ひらのぼせつ)をあらわした比良ゆずもちをご紹介します。
〈近江八景〉はかつて大津にあった膳所(ぜぜ)城から眺めた景色と伝えられます。比良暮雪は比良山系に降る暮れ時の雪のこと。歌川広重の浮世絵でも雪をいただいた山の姿が描かれています。〈近江八景〉のなかでは大津から一番遠い場所ですが、膳所城からも雪化粧をした山々が見えたのでしょう。
比良ゆずもちは歯切れのよいお餅に酒粕パウダーをかけていただく一品。酒粕パウダーには滋賀県の地酒「七本鎗」の酒粕を使用しています。開発では雪を連想させるものとしてミルク餅にミルクパウダー、大福にホワイトチョコパウダーをあわせる案も学生さんから出ていました。
お餅にくわえたゆずは昔から家や畑のそばに植えられてきた果樹。里山の風情をお餅であらわし、お召し上がりの前に酒粕パウダーをかけることで雪景色をつくるお菓子に仕上げました。
パッケージにも雪の結晶をイメージした模様を入れ、冬の情景に。シールには書家 水野恵氏による篆刻風(てんこくふう)の古漢字を配しています。
■比良暮雪
「比」は人が二人、背比べをしている様子です。「良」は細長い流れのこと。真ん中の「・」は川の途中を深く掘り、水を汲みやすくした場所を指します。「暮」は草が四つ。その真ん中にお日様が降りてきて草の向こうに見える光景です。「雪」は「生」が左右に二つ。雪の結晶を手で受ける形を表しています。
「果想観譜 たねや・クラブハリエのための水野恵作品輯」解題より引用
八つの景色を八つのお菓子であらわした近江八景はお菓子やパッケージ、詰合せの箱にいたるまで学生さんと一緒に考え、つくりあげたものです。
LAGO 大津にお越しの際は湖岸からの景色とともに、近江八景もお楽しみください。