取材レポート2回目は坂ノ途中契約農家「HATAKEYA」の川﨑亮太様のお話をご紹介します。
Q. 農業を行う中で心がけていることは A. 「農業を“科学”することを強く心がけています。 気温20度や湿度50%のように科学は“自然界で起きる現象を人間がわかるように定義づけたもの”だと考えていて、畑の科学を勉強することが自然を理解することにすごくつながっていると思っています。 畑は人の手が入る分植物が育ち、枯れ、土に還っていくという循環が早い。 畑をきちんと理解し、目の前で起こったことが何なのか理解することでさらに広い森や山、海や川など自然界全体への理解に繋がる。農業の楽しい部分だと思っています。」 Q. 新規就農を志した理由や新規就農で大切にしていること A. 「わたしの実体験は海外にあります。いくつも訪れた海外で、自然と共存する現地での暮らしや農を通して『ヒトとしてどう生きるべきか』と自問するようになったことが大きなきっかけです。 農業の楽しさに触れたこと、ふと自然の循環を感じる瞬間があり、自然のシステムに感動したことがきっかけで農家を志すようになりました。 新規就農では新しい土地で農業をすることが基本的には多いと思います。その中で地元の方のお話からヒントをもらうことがたくさんあります。 いなべ市でも5、60年前は近所で牛を飼っていて、その牛があぜ道の草を食べていたような場所。 近所のおじいちゃんおばあちゃんが、教科書などで科学を学んできたわけではないけど、長年自然と向き合ってきたからこそ知っていることを日々の会話の中で学ぶこともとても大事。農業を勉強してきたから『なんでも知ってる!』と天狗になるのではなく普段から会話が出来て、いろんな情報をもらえたり助けてもらえることがとても大切だと感じている。 なにより話しが面白いんですよね。」 Q. 育てたお野菜をどんなふう食べてもらいたいですか A. 「『あ、野菜って美味しいんだ』という気付きを提供することが農家として1番自然や環境に貢献できることだと思っています。 野菜を食べなきゃいけないものではなく、美味しい野菜を食べたい!と思って食べてもらいたい。野菜メインの料理がもっとあっても良いんじゃないかと思うんです。 キャベツひとつでも冬キャベツや春キャベツがあって甘みや調理時間も変わってくる。野菜で料理をもっと楽しんでもらいたいんです。 本当の理想は、自分で育てた野菜を食べ、畑を楽しみ、目の前の小さな自然からの学びを通して、もっと広い世界を理解できる人が増えることです。 農や畑にはそんな可能性があると思うし、農家はその面白さのきっかけを提供できる存在だと思っています。 『有機農業』や『有機野菜』が特別なのではなくて、それを通して多くの方々の自然や環境に対する意識が変わることが何より大切なことだと考えています。 有機野菜が特別視されるのではなく、間口を広げるひとつのきっかけとして『有機』や『オーガニック』という言葉があるのがいいなと思っています。」 川﨑様の畑でお話をしているとだんだんと野菜に興味がわいてきて、取材が終わる頃には坂ノ途中、川﨑様の野菜を食べたくなっていました。 「野菜を“食べなきゃいけないもの”だと思わないでほしい」という言葉にドキッとした方も多いのではないでしょうか。 わたしも実際、健康のためにも野菜を“摂らないといけないな”と思ってしまっていました。 今回の取材を通し野菜、農業、そして自然に対する思いを直接伺うことで、手塩にかけて育てられた野菜を日常に取りこみ、大切に食べることで心も豊かな生活になるのではないかと思うことが出来ました。 次回はいよいよ大切に育てられた野菜がたねや日牟禮茶屋に到着します。お楽しみに。