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ラ コリーナ日誌
小豆の旅(下)【北海道・十勝】
Text : 田中一弥(原材料管理室)
- #素材をめぐる旅
9月のお彼岸の頃、電話で「そろそろ小豆があがるよ」と知らせがあり、 十勝に飛びました。
この頃の十勝の最低気温は10℃前後。
朝晩はもうかなり冷え込みます。
でもこの朝晩の冷え込み、寒暖の差が、美味しい小豆を生む秘訣です。
莢(さや)にはたくさんの小豆が詰まっています。
ここの生産者のみなさんは、小豆の収穫のことを「あがり」と呼びます。
双六のあがりと同じですね。
広大な農地を休みなく、ずっと世話してきたわけですから、 ようやく一息つけるといった心情でしょうか。
静かにあがりを待つ小豆たち。
こだわりぬいた小豆づくりをされているビーンズ倶楽部会長の西野さん。
ビーンズ倶楽部とは、ここ十勝の地で、有機的な豆栽培に取り組み、 農薬、化学肥料を、北海道の慣行施肥基準の5割以下に落とし、特別栽培で作付けをされている生産者団体です。
食べる人に優しい豆をつくりたいという、強い信念をもった方たちです。
こちらはビーンズ倶楽部の山﨑さん。
ビーンズ倶楽部の山田さん。
「たねや小豆農場」の看板があがっているのは山田さんの畑です。
あがりをまつ小豆たち 其の二。
このイケメンは高道さん。 今回は高道さんの畑のあがり(収穫)にご一緒させていただきました。
今年は、小豆の成長する夏までの気温が暖かかったこと、
台風の影響がほとんどなかったことから、とてもよい品質の小豆になったそうです。
新しい豆であんこを炊くのが楽しみです。
小豆の収穫方法はまず、ビーンカッターという機械で小豆を茎の根元から地面から切り取り、
次にビーンスレッシャーという機械ですくい上げて脱穀します。
それにしても広い畑です。
高道さんの畑は小豆だけで2ヘクタールもあります。
大きい野球のグランド2つ分くらいはありそうです。
小豆の莢がぎっしりついています。
ビーンスレッシャーに乗せてもらい、高道さんの奥さんのとなりでお手伝い。
あまり役に立ってません。
タイヤの大きさを見ていただければわかりますが、
これだけの大型機械が必要なのも北海道ならではの光景です。
脱穀した小豆を積み込みます。
くすみのない、きれいな色の白小豆です。
くせのない素直な味が特徴で、どらやきの白つぶ餡に使用しています。
高道さんのお父さんとたねや愛知川工場の藤澤工場長。
息子さんの仕事ぶりをやさしく見守りながら小豆談義。
収穫後、選別工場に集められた小豆。
これはたねやの代表銘菓「ふくみ天平」に使用する「エリモ」という品種です。
たねやにとって、とても大切な小豆です。
この選別工場では最新鋭の機械で、不純物、色の悪いものを取り除き、 大きさ別に選別、みがきを行います。
最後は人間の目で小豆をチェックします。
左がたねや用に選別していただいている小豆。
栽培から選別まで特別仕様です。 お菓子の材料は全て自然から生まれるもの。
同じ品種や産地でも、年ごとに少しずつ違います。
毎年12月頃、その年に収穫した全ての品種の小豆をたねやの工場で味見し、お菓子の配合を決めていきます。
お菓子づくりは自然と向き合うこと、と言っても過言ではないと僕は思います。
十勝滞在最後の夜、生産者の皆さんがバーベキューでもてなしてくれました。
感激です。
おししい料理とお酒、そして最高の小豆をありがとうございます!
今年も最高の小豆が収穫できました。