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ラ コリーナ日誌

たねや「本生羊羹」ができるまで〜前編〜

Text : 森 朋美(広報室)

  • #たねや

「季節ごとに小豆の風味を届けたい」
それぞれの季節ごとに一番美味しくお召し上がりいただける羊羹の美味しさを求め、2021年秋より「本生羊羹」の開発をスタートしました。

▲2004年より販売を開始した「のどごし一番本生水羊羹」

「小豆本来の味を活かし、限りなく『生』に近い水羊羹をつくりたい」
そんな夢を抱いた和菓子職人が独自の「本生製法」を生み出したのは2004年のこと。

製造環境をコントロールしたクリーンルームで炊きあげ、熱いまま充填する「本生製法」は小豆の豊かな味わいをより活かすことができ、発売から18年経った現在も「たねやの夏といえば水羊羹」と多くの方に言っていただける商品になりました。

今回のラ コリーナ日誌では本生羊羹ができるまでのお話を前後編にわけて、商品開発室と製造担当の二人からご紹介いたします。


商品開発室の松宮です。
「本生羊羹を年間通して販売したい、たねやの羊羹は水羊羹である『本生羊羹』だ。」という社長・山本の言葉から本生羊羹の可能性を広げるため、季節にあわせた商品の開発が始まりました。

日本には四季があり、気温や湿度の変化にあわせ求められるおいしさも異なります。たねやの和菓子は、一年を通してお客様に季節の変化を感じていただけるよう、その日の気温、湿度にあわせて職人が調整しています。本生羊羹の開発では季節ごとの味を表現できるよう、小豆の風味を変化させる方法を探りました。

本生羊羹の美味しさはそのままに、季節に合わせて製法の調整を行いました。気温や湿度、季節に合わせて人間の体調や味覚も微妙に変化していきます。季節ごとの本生羊羹を食べ比べると味の違いがわかるけれども、お客様には味の変化に気づかせない。それが職人技です。

その季節ごとに食べる本生羊羹が常に一番美味しくなるよう、季節ごとの味わいをご用意しました。本生羊羹 冬味は、小豆の風味を口の中でゆっくり味わっていただけるよう調整しています。

▲本生羊羹 冬味

また、従来のプラスチック製の容器からアルミ容器に変更し、プラスチック使用量を削減するサステナブルな取り組みも同時に行いました。

羊羹はもちろん容器の形状にも特にこだわっています。アルミ容器では難しいとされる側面にカーブをつけ、たねやのオリジナル容器として特色がだせるようメーカーの方と何度も打ち合わせをし、一年がかりでオリジナルの容器が完成いたしました。

▲容器メーカーの担当者との打ち合わせ(左:松宮)

アルミ容器に変更したことでプラスチック削減はもちろん、羊羹へ直接光を通さないため風味の劣化がおこりにくいなど、商品にとってのメリットがたくさんあります。


本生羊羹は、開発の過程で小豆の品種を変えたり、糖度を調整するなどさまざまな試作を行いました。コンセプトは「どの季節に食べても美味しい本生羊羹」。

試作を重ね、何度も食べるうち、最終的にたどり着いたのは原点にたち戻ること。

長年ご好評いただいている「のどごし一番本生水羊羹」と同じ小豆を使い、大きな変化は求めず季節に合わせて微調整をすることになりました。

たねやは自社で製餡プラントを構えているため、小豆からこし餡を製造する工程で微調整を行うことが可能です。小豆の風味に強弱をつけ、食感は寒天を調整することで羊羹の口どけや滑らかさにこだわり、季節ごとに味わえる『本生羊羹』が完成しました。

たねやがこだわっている小豆の味わいを四季に合わせて楽しんでいただける羊羹になったと思います。

今回の開発には通常のお菓子の開発に比べ、多くの部署が関わりました。企画立案、容器設計には営業本部長、羊羹は製造部、製餡工房のスタッフと商品開発メンバーで試作・検討し、最終的な味の判断は社長・山本が決定しました。


私は「たねや」の本生羊羹は世界で一番美味しいと思っています。これからは一年を通して本生羊羹をお楽しみいただけるので、グローバル化が進む中、本生羊羹がたねやの羊羹として世界にも進出してくれたらと期待しています。

次回、たねや「本生羊羹」ができるまで〜後編〜 では製造部の工房長にお話を伺います。