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ラ コリーナ日誌

植生調査 〜八幡山〜

Text : 髙曽 津弥(広報室)

  • #ラコリーナ
  • #キャンディーファーム(農藝)
  • #ランドスケープ
  • #わたしたちの取り組み

2022年11月22日、ラ コリーナ近江八幡の背景に広がる八幡山の植生調査へ行きました。

植生調査とは、目的とする場所に生育している植物群落の様子を調査することです。八幡山にはどのような植物が、どんな仲間と生育しているのかを実際に見に行き、そこから分かる情報を元に、これからのラ コリーナを“私たちの手でどのようにつくっていくか”を参考にします。そして、将来は八幡山と連なるような森づくりを目指します。

現在、たねや・クラブハリエでは、2009年よりグループ全体で「どんぐりプロジェクト」を進めています。目標は10万本。50年後には林に、100年後には森にー

今回の調査には、ラ コリーナを担当下さっているランドスケープアーキテクト重野国彦さん、野生植物の生態調査・解析に活動されている農学博士の野田浩先生、そして店舗、製造、本社、キャンディーファームなど、様々な部署の従業員が参加しました。
どんぐりプロジェクト開始から10年以上が経過。メンバーも増え、再確認の意味も含めて調査をします。

まず八幡山へ入る前に、近くの日牟禮八幡宮へ参拝に行きます。「安全に、良い調査ができますように」とみんなでお参りをしました。

登り始めてすぐ、ヤブコウジという赤い実をつけた植物を見つけました。木陰に群生しており、どこか控えめ。ラ コリーナでも増えてほしい植物の一つです。

※ヤブコウジ…古くから日本人に愛されてきた植物で、センリョウやマンリョウと並んで縁起がよいといわれる植物。

変わった形のヒノキも発見しました。幹が無数に枝分かれして成長しています。
ヒノキは、まっすぐで枝分かれのない太い幹が一本天高く伸びるイメージでしたが、なぜ枝分かれしているのか、野田先生も不明だそうです。自然界には不思議なことがたくさんあるのだと改めて感じます。

山頂へ到着するころ、シイの実をたくさん見つけました。どんぐりという呼び方で馴染みがありますが、一般的にはブナ科の果実の総称を指します。
日本のどんぐりは、約22種類の固有種があるといわれています。ラ コリーナでは八幡山と同じ樹種になるよう、そのうち11種を育てているとのこと。

※シイ(椎)…神社の境内や公園に多く植わっている。実の部分は食用にできる。

さらに奥の方へ進んでいくと、今度はいい香りがしてきました。甘い香りを探して、みんな手で木を触ったり、葉っぱの匂いを嗅いだりしました。
すると、その正体はタカノツメという木の落ち葉であることがわかりました。

※タカノツメ…樹木はやわらかく加工しやすいのが特徴。下駄、マッチ棒、箸などに用いられている。

八幡山には普段私たちが目にしている植物はほとんどなく、教わることばかりでした。

多くの驚きと体験の中で、仲間とのふれあいや部署を越えての学びの場となり、美しい八幡山を知ることができました。人が森の資源を有効に活用しつつ、自然を守り、よりきれいな状態で次の世代へと受け継いでいくことが私たちの使命だと感じます。

日常では目の前のものだけを当たり前の景色のように見てしまいがちですが、姿勢を低くして、地面に目を向け、土や植物に触れる感覚を私たちは大切にしています。

普段はラ コリーナから眺めている八幡山でしたが、今回の経験で、今まで想像もできなかった山中の足元の状態や木々の景色が目に浮かぶようになりました。

これからも「自然に学ぶ」をテーマに、ここラ コリーナ近江八幡から発信していきます。