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ラ コリーナ日誌

おきなわバニラプロジェクト 農園視察

Text : 大久保 俊輔(チョコ工房 工房長)

  • #サステナビリティ
  • #わたしたちの取り組み
  • #クラブハリエ
  • #素材をめぐる旅

5月15日・16日、昨年に引き続きバニラ「受粉会」のため、沖縄県中頭郡北中城村(きたなかぐすくそん)のバニラ農園「ソルファコミュニティ」さんへ行きました。こちらのバニラ農園は、最高品質を実現したバニラ発酵技術の特許を取得している農園です。今まで世界的にも科学的な裏付けがなかった発酵技術「キュアリング」の手法を明らかにしたことで、日本初の特許を取得されました。

ハウスの中では1万株のバニラが並んでいます。

到着した時点では600株の花が咲いておりましたが、翌日16日の受粉会の日にはなんと、咲いている花が0株!受粉会での受粉作業は断念ということになりました。

私たちは、受粉会開催前にバニラを観察させていただくことができました。

青々とした香りの強いバニラのさやの中には、真っ白なバニラビーンズがぎっしり詰まっています。まだバニラの香りではなく、青っぽい野菜のような香りでした。

バニラは1株で10房、1房に16本の実がなり、その16本を8本に摘果(てきか)という間引き作業を行って、最終的には1株で約80本のバニラビーンズができるそうです。

余談ですが、バニラの実や葉っぱ、茎から出る汁はかぶれるから気を付けてと農家の方に教わりました。

ハウス内にはサーキュレーターが頭上に設置されています。ハウス内でも風を当てることによって、より自然に近い環境を作っています。

開会のあいさつでは、今までのバニラに対しての研究の過程やこれからのバニラ農業に対しての考え方など船谷博生さまより熱く語って頂きました。

▲左から、合同会社ソルファコミュニティ 玉城 卓代表、北中城村 比嘉 孝則村長、クラブハリエ 代表取締役社長 山本隆夫、特定非営利活動法人ディーセントワーク・ラボ 上席研究者/社会福祉士 船谷博生氏

今回私たちは、この農園で今年取れたバニラを使用してお菓子を作りました。同行した横畠シェフはフラン、私はバニラのボンボンショコラを。参加者のみなさまにも喜んでいただけました。

※フラン・・・卵・砂糖・牛乳を使ってつくられるお菓子

今回使用させていただいたバニラは、昨年のものより香りが弱かったです。前年度のバニラを見せていただいたのですが、冷凍保存していたにもかかわらず香りは濃厚で最高品質なものでした。

なぜ今回のバニラの香りが弱かったのか。それは、キュアリングというバニラの発酵作業期間をこのお披露目の場に合わせて短くしてしまったのが原因です。


【バニラの香りを引き出す / キュアリング加工】

バニラの実がなり樹上で8カ月熟成させる。

収穫し1分茹でる。キリングという工程で実の成長を止める役割。
 
熱々の実を布で包み、保温できる箱で2日置いておく。
 
天日干しで乾かして、紫外線で菌などを減らし熱が上がったら保温の作業を1カ月。陰干しをしながら水分を抜く作業を2カ月。
 
木箱に入れて香り付け作業を3ヶ月。
 
バニラが私たちの知っているバニラビーンズになるまで約1年半以上はかかるそうです。


またソルファコミュニティの農園では、バニラ以外にも栽培されておりバナナやパッションフルーツなど、南国のフルーツがなっているところを見ることができました。

▼バナナの房とバナナの花(バナナハート)

▼パッションフルーツの花と実

今回のバニラ農園視察で、私はさまざまな素材を使ってお菓子を作っているにも関わらず、果物の実の育ち方や背景を全く知らなかったのだ、と気づきました。

今後は生産者の方がどういう思いで生産されているのかを知り、お菓子にその思いをのせられるようにしてきたいと思います。

農家の方たちがこだわりをもって、栽培・生産をしていただけているからこそ、私たちが良い材料を使用できる。そこに感謝の気持ちをもって、お菓子を作りお客さまに届けていきたいと思いました。