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ラ コリーナ日誌
氷彫刻講習会が開催されました!
Text : 谷口正人(守山玻璃絵館シェフ)
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9月4日、ラ コリーナ近江八幡フードガレージエリアにて、洋菓子の世界大会「クープ・デュ・モンド・ドゥ・ラ・パティスリー」歴代代表選手による氷彫刻講習会が行われました。
講師を務めたのは、2013年代表 パティスリー サヴール オン ドゥスール 森山康シェフ、2017年代表 クラブハリエ グランシェフ 山本隆夫、2021年代表 アカバメラボ 赤羽目健悟シェフの3名です。
講習は、初めて氷彫刻に挑戦する初心者と次の日本代表を狙う上級者を対象に行われました。
まず、講師によるデモンストレーションを行いました。
初心者コースは使用する道具の種類や使い方の説明から始まり、課題のエンゼルフィッシュを山本グランシェフが実演。上級コースは赤羽目シェフが課題のトンボを実演されました。
デモンストレーションの後は、参加者も氷彫刻を行いました。
初心者も上級者も全員一斉にスタート。
時折講師にアドバイスをいただきながら彫り進めます。
初心者コースは上級者コースより先に完成したので、1回目の出来栄えを評価してもらい、その改善点を踏まえて2回目の作品に取り組んでいました。
エンゼルフィッシュは四角い氷から要らない部分を引いていくことで形になる氷彫刻の基本が学べる課題です。削りすぎてしまったり、割れてしまうと取り返しがつかないので慎重に作業を行わなければなりません。
上級者コースのトンボはさらに目や羽、尾など細かいパーツを削り出し、接着する作業が必要になります。
それぞれのパーツの接着面が歪んでしまうと取れやすくなってしまうので、パーツ同士の接着面を真っ直ぐ整えることが大切です。さらにトンボの尾の部分は重力に対し真横に接着する必要があるので、氷の重みで取れてしまわないようしっかり接着することが難しいところでした。また、実際の大会は制限時間があるので、制限時間内に仕上げていくことも課題になります。
一般的にチョコや飴を使った工芸細工は足すことで作品を作り上げていきますが、氷彫刻は一個約135kgの大きな氷の塊からノコギリやノミを使い、要らない部分を引いていく作業で完成させる異質な工芸作品です。その特性上高度なデザイン力や空間を立体的に捉える力を要することになるため、パティシエとしてのセンスを磨くことにも繋がります。
四角い氷の塊をどのようにカットし自分の理想としているデザインに落とし込んでいくのか。
美しく魅せるために本当に必要なパーツなのか、工芸だけでなく、ケーキ作りにおいても余計なことを省いてシンプルにすることで素材が活きてくることがあります。
日常生活においても、余計なものを引いていけばもっとシンプルに生きていけるのかもしれません。
今回の氷彫刻講習会は歴代選手に直接ご指導いただけるとても有意義な講習会でした。
これからも氷彫刻で学んだことをパティシエとしてお菓子に活かしていけるように勉強していきたいと思います。