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ラ コリーナ日誌
NELIS始動!ラ コリーナから世界へ
Text : 國領美歩(広報部)
- #NELIS
世界の次世代リーダーが、ここ近江八幡に———
10月16、17、18日の3日間、滋賀県近江八幡を舞台に、6大陸14カ国25人の若手リーダーが集うNELIS(ネリス/Next Leaders’ Initiative for Sustainability)の世界大会が行われます。
近江八幡から始まる新たな取り組みのスタートを前に、10月8日、滋賀県庁で記者会見がありました。
登壇したのは、長年グリーン・エコノミーの創造に携わるソーシャルデザイナーのピーター D. ピーダーセンさんと、エコヴィレッジをつくるなど常に未来社会の夢を描いてきた近江八幡商工会議所の秋村田津夫会頭、そして、地元滋賀に根を張り、自然と企業活動の融合を目指すたねやグループの社長山本昌仁です。
この3人が共同代表となり、NELISは2015年 1月に一般社団法人として設立され、活動を始めました。
秋村会頭は「次の世代の人たちが社会の問題をちゃんと解決していける場作りをしたい。次の世代の人たちは世界と一緒にものを考えるということができる。期待しているだけではく、環境づくり、準備をしていこうと思います」とNELIS設立にかける思いをお話しになりました。
山本はこう話しました。
「私は大前提として、この滋賀県が大好きな一人であります。その滋賀県で、私たちが次の世代に引き継ぐ中でやらなければならないこと。それが今、自然をもう少し理解しながら動いていくことだと思います。そんな議論を私たちが生まれ育った滋賀でやりたい。近江八幡でやりたい。
NELISでは中学生や高校生、大学生の皆さん方にも入っていただいて、一緒に議論をする場も設けさせていただいています。“次の時代、未来のことを語れる場をこの滋賀県から”という思いでNELISを立ち上げさせていただいたところです」
NELIS発足の背景には、“もどかしさ”があります。数十年前から持続可能な社会の可能性がうたわれ、国際的にも環境への取り組みが進みましたが、結果としては成果があらわれていないという現状もあります。
気候変動に関する様々な交渉があってもCO2は増え続け、廃棄物もしかりです。
国連では、SDGs(持続可能な開発目標)が採択されましたが、果たしてこれが環境の改善につながるのか、疑問を持っています。
富の集中は今も続き、来年は最も豊かな1%の人々が残りの99%より多くの富を保有するようになると予想されています。
「近代社会近代文明は大きな暮らしの危険性に直面している。自然を尊重し人間性ある地球社会への転換を成し遂げるには、新しい価値観を共有する次世代リーダーが力を合わせることが必要不可欠ではないかなと思います」とピーターさんは、NELISの問題意識、存在などについてお話しになりました。
持続可能な発展のため奮闘する世界各地の若手リーダーが集い、つながり、学び合い、社会に向けた発信力と影響力を高められるように。より大きな社会変革力を高められるように、鼓舞、支援することがNELISの役目であり存在意義なのです。
来週末に迫った世界大会に向け、参加する次世代リーダーから抱負が寄せられました。
インターネット通話で参加した一般社団法人お寺の未来理事・未来の住職塾塾長で浄土真宗本願寺派光明寺僧侶の松本紹圭さんは、
「これからの社会は、もはや政治や経済といった既存の枠組みではとうてい解決できないような大きな問題がたくさん出てきています。今回“サステナビリティ”というキーワードで若手リーダーが集っていろんな角度から議論するというのは、すごく新しい取り組みであり意義も大きいと思っています」
「未来からの前借り、やめましょう」というメッセージを掲げ、農薬や化学肥料不使用で栽培された農産物の販売や育成機能をもつ自社農場の運営を通して、環境負荷の小さい農業を実践する農業者を支える株式会社坂ノ途中の小野邦彦さんは、
「地方で未来を語るっていうのがNELISのおもしろさではないか。各地域で同じような問題意識を持つ人が連携して、一緒に乗り越えていくことで大きなうなりをつくっていかないといけない。そういうきっかけに一つネリスがなれば素敵だと思います」と話しておられました。
記者発表は東京でも行われました。
起業家、社会的起業家、チェンジメーカーなどと呼ばれる社会のシステムや問題に対して疑問を持ち、それをビジネスもしくは様々な活動で解決しようとする人たちが集まるコミュニティを運営するインパクト・ハブ東京代表の槌谷詩野さんは、記者発表の会場で、
「日本の地域からどんどん直接海外と繋がって、いろいろな思想、手法を吸収して東京を通さず現地でやっていこうという人たちが発生しています。今回の25人も、学者ではなく実践で世界各地で活動している人たちが集まりディスカッションして、その知が蓄積されていくことが近江八幡で起こるということはすごくおもしろい、エキサイティングな内容だなと思っています。今後NELISのネットワークが社会の大きなうねりを作るものになるのではないか」と力を込めておられました。
サステナビリティ・コンサルタントとして若手起業家支援なども行うシュラヴァン・シャンカーさんは、「NELISに関して特に気に入っているのはアクション思考、行動思考ですね。いろいろ話し合ったりされていますが、今必要なのは行動であり、それをローカルなレベルでありながらもグローバルなビジョンをもって行っていることころが非常に気に入っています。
NELISが1つのプラットフォームになって、そこで若手のサスティナビリティに実際に取り組んでいる人たちがアイデアを出し合って行動に移していくという、そういった場になればと願っています。最終的に行動として結実するということが、とても重要と思い一生懸命参加しようと思っています」とインドのチェンナイからメッセージを送ってくださいました。
投融資およびコンサルティングの経験を持ち、スカンジナビアとアジアを主な活動領域とする独立系のアブソリュート・リターン投資会社、Asia Investment Partner(AIP)の創業者であるシェン・シェンさんはスウェーデンから意気込みを語ってくださいました。
「私はサステナブルは重要なイシューだとずっと思い続けています。1つはサステナビリティをコアビジネスに組み込まないといけない。別の部署がやるとかではなくコアに組み込んでいくのが大切です。2つ目には協力して協働してやっていかなければ問題は解決されないということです。
そこで、協力協働の部分でNELISは私にとって非常に魅力的です。そこに集う方と話し合い、彼らがどんなことをやっているか学び、インスピレーションし合うことをとても楽しみにしてます」
インターネットで世界各地をつないだやり取りでは、世界の若手リーダーのNELISに向けた高揚感が伝わり、いよいよスタートするこの新たな取り組みが、きっと素晴らしいものになるだろうという大きな希望が生まれました。
3日間にわたって繰り広げられる世界大会では、ラ コリーナ近江八幡も「議論の場」「創造の場」として、大切な役割を果たします。
ラ コリーナ近江八幡は、世界から集う次世代リーダーと共に“未来をつくる場”へ。
世界大会の模様も、ラ コリーナ日誌でお伝えします。お楽しみに!
NELISの公式ホームページはこちら。