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ラ コリーナ日誌

Japan Food and Agriculture Society(JAFAS)2025 レポート

Text : 大村啓子(経営企画室)

  • #サステナビリティ
  • #わたしたちの取り組み
  • #たねや
  • #NELIS

JAFASの概要

たねやが参加するNPO法人NELIS(ネリス/Next Leader's Initiative for Sustainability)は環境、サステナビリティ、社会イノベーションに取り組む「次世代のグローバル・ネットワーク」をつくり、若手リーダーの行動力を高め社会の実践的な変革・変容の実現に向けて取り組む活動を行っています。

その活動一つ4Revs(フォーレブス)では世界が直面する「4つの生存課題」である、食糧・水・資源・エネルギーの領域で日本企業と世界各地の社会起業家、サステナビリティの実践者と協働する共創的なエコシステムの構築を目指しています。その4Revsに参加する企業が中心となり複合危機に直面している食糧農業システムを共創と実装するJAFAS(Japan Food and Agriculture Society)を2025年春に立ち上げました。


2025サミット概要

企業は安定した持続可能な原材料の調達という課題に直面しています。その背景には、世界的な土壌の健全性の崩壊、乾燥地の拡大、生物多様性の損失、干ばつや水ストレス、日本では特に農業に携わる人手の確保や高齢化の課題があります。この課題は現在の食糧システムを継続していては解決できません。システムのあらゆる分野を変えていかなければ食と農の未来がない、つまり私たちの未来がありません。

私たちは、未来の世代に対して責任を持つ義務「世代間責任」があります。JAFAS参加企業と食・農に関わる生産者、企業、行政機関、研究者など多様なステークホルダーの192名が集まり、社会的責任と社会と企業が持続可能な成長を同時に果たす具体的な技術や知識について学び、2030年に向け一歩を踏み出すサミットを2025年10月29日に開催しました。

第1部:基調講演・JAFASの活動報告

基調講演
「環境と調和のとれた食料・農林水産業の実現に向けて」
近藤 謙介氏(農林水産省  大臣官房 みどりの食料システム戦略グループ グループ長)

JAFASの取り組み紹介
再生農業
▷「JAFASが考える再生農業とは」
サントリーホールディングス株式会社 安東 祐一郎氏(サプライチェーン本部)

食のアップサイクリング
▷「アップサイクル商品が流通する社会を実現するJAFASの将来ビジョン」
明治ホールディングス株式会社 和田 哲也氏(サステナビリティ推進部)

JAFAS参加企業のアップサイクリング事例
▷「余すところなくすべてを美味しくいただくことが創る価値」
株式会社たねや 大村 啓子(経営本部 経営企画室)

▷「小豆の皮がクラフトビールに!?」
ゴールデンラビットビール 市橋 健氏

▷「食品ロス アップサイクルへの挑戦」
井村屋スタートアッププランニング株式会社 北 将之氏(戦略企画部)

第2部 現場からのインスピレーション(事例紹介)

再生農業事例
▷「Renewing Our Minds, Renewing the Earth」
メノビレッジ長沼/マオイカバーシード レイモンド・エップ氏

▷「穏やかな未来のために 持続可能な農業の構築」
株式会社Kalm角山 川口谷 仁氏(代表取締役)

▷「再生農業の促進に向けた、地域のつながりから見る食や農の未来」
合同会社流域共創研究所だんどり 矢野加奈子氏(役員/東京農業大学 非常勤講師)

食のアップサイクリング事例
▷「大量生産・大量消費の先へ アップサイクル時代に企業が持つべきマインドセット」
一般社団法人フードサルベージ 平井 巧氏(共同代表理事)

▷「乳製品で新たな価値創造!SNF原料を活用したクラフトアルコール飲料」
株式会社Beer the First 山川 大介氏(取締役) 
株式会社明治 松浦 枝里子氏

▷「地方・地域が連携したアップサイクル商品への取り組み」
川越開運堂株式会社 森 貴史氏(営業部長)

特別講演
「琵琶湖との共生」へ ~滋賀県農業の挑戦~
滋賀県農業技術振興センター 山本 孝司氏(所長)

グローバルインサイト ー 海外の先進企業との対話、事例の共有
▷「 Sustainability & Regenerative Agriculture」
アーラフーズ ハンネ・ソンダーガード氏(農業・持続可能性・コミュニケーション担当エグゼクティブバイスプレジデント)

▷アグレイン アヴィアヤ・リーマン=アンダーセン氏(CEO兼共同創設者)

基調講演から

農林水産業は自然環境から恵みをいただく産業であるため自然環境への変化を起こさせない、気候変動を緩和する政策に力を入れています。一方、近年の急激な環境変化への適応という面も重要な政策課題となっています。

日本の国土の77%を占める農地と森林は、気候変動対応において極めて重要なCO2吸収源としての役割を果たし、生物多様性の保全面からも生物の生息域としてかかわっています。しかし、農業や畜産における生物そのものの働きから発生するメタンガスなどの温室効果ガスの発生源ともなっており、農林水産業が環境負荷低減と生産や経営の持続性の両面において発展をし続けることが気候変動緩和、生物多様性保全に重要です。そこにかかわるのは農業関係者だけでなく私たち企業が原材料の生産の場、生産者とかかわり食の新たなシステムを創っていく必要があります。

JAFAS再生型農業の活動

多くの企業は責任ある調達を果たす上で、原材料の生産に関わる農業が土壌や生態系を守るとともに、安定的な供給を実現する必要を感じています。そのための手法として、農地の生態系を保全・回復する再生型農業に取り組みたいと考えています。しかし、再生型農業に関わる費用、定義、要件、環境面で得られる効果の測定など、実際に進める上での共通の悩みが多く、JAFASではその解決に向け3つのワーキングチームにて活動しています。

①ビジョンチーム
国際的団体や国内のさまざまな組織を参考に日本の従来からの有機農法に着目し、アジアモンスーン気候に合わせた再生型農業の要件・定義の整理、成果と目指す姿の策定。

②コアリションチーム
参加企業の関心の高い農地、農作物においてステークホルダーとマッチングを行い、策定した要件定義の実証実験を行う。

③エンゲージメントチーム
農家、業界、消費者団体などに対して再生型農業のエンゲージメントを高める活動を推進。

JAFAS食のアップサイクル(UPC)の活動

世界では食糧が13億トン廃棄されるなか8億人が飢餓に直面しています。この食糧の廃棄と不足の同時発生は資源の浪費を象徴する問題です。さらに、気候危機や自然の劣化により日常の食はもちろん、原料の調達にも危機が迫っています。世界的にも課題とされる食品ロス対策には国際機関、国内でも優先順位をつけ対策がなされています。

【食品ロス対策の優先度】
発生抑制→再利用(人の消費→飼料→製品化→たい肥)→エネルギー回収→廃棄
JAFASでは食のUPCを「新たな価値を付け、人により消費される製品にする」と定義しました。UPC商品が流通する社会の実現のためにはフードサプライチェーンの製造・流通・消費に同時にアプローチを行う必要があります。

①製造 … ビジネスハブの立ち上げ
技術・研究情報の蓄積・消費者情報・流通情報の集約

②流通 … 流通の拡大活動
小売店での特別棚の設置・B to Bマッチングプラットフォーム・UPCセンターの設立による販売機会の拡大

③消費 … 啓蒙活動
イベント開催・メニュー開発・アカデミー開校・学校給食・認証制度の立ち上げにより消費者のリテラシーの向上

以上の3つを計画し、今後実行のフェーズに向け自治体との共同を検討しています。

たねやがJAFASに参加する意義

サミットでは自社の小豆皮アップサイクルの事例紹介を行いました。健康で安心安全なお菓子のために農家さんが大切に育ててくださった原材料を余すところなく美味しくいただくことは私たちの使命です。たねやではこし餡の製造過程に排出される小豆皮を使用したお菓子作りにも取り組んでいます。しかし、小豆皮は出てくるタイミングで多くの水分を含んでおり、製造時まで冷凍保存や乾燥が必要です。原料として使用するための小豆皮の乾燥粉末化を外部で行ってきました。しかし2026年1月にこし餡の製造ラインに小豆皮の乾燥機を導入します。この小豆皮乾燥の内製化は外部への輸送や冷凍保管にかかるエネルギーの削減を行い、小豆皮の全量アップサイクルを目標に掲げています。

再生型農業やアップサイクルは、今までの資源を浪費してきた食システムを変える取り組みですが、個社では社会全体の仕組みを変えていくことはできません。JAFASに参加し、自社の課題や成果を共有し皆様と実行していくことが「お菓子を通じて実現する持続可能な社会」への確実な一歩になると感じました。ぜひ皆様もJAFASに参加いただき再生型農業、食のアップサイクルはじめ様々な仕組みづくりにご一緒いただきこれからの未来を創る仲間となっていただけると幸いです。